コラム「絵心のススメ」第1回 描くことは、仕事に似ている

仕事を通じて出会う人たちのイラストを描くようになった、とある似顔絵描きの独り言。



似顔絵を描きはじめて、17年ほど経つ。転勤する部下や同僚、上司、最近では仕事柄、各界の著名人もしばしば描かせて頂くこともある。似顔絵を通じてその方に喜んで頂けて、ちょっと元気を出して頂ければ、と思っているが、要は描くのが好きだ。差し上げた絵をLINEのプロフィールなどにしてくれると、本当にとても嬉しくなる。


そんな私の、絵心の、というか遊び心のススメを書いてみる。わたしの場合は似顔絵だが、仕事のなかに遊びの要素を取り入れて楽しむ感覚を共有出来たら嬉しい。


まず、下書きはしない。いきなりサインペンで描く。下書きした鉛筆を消しゴムで消すのは、汚くなるし時間もかかる。そして、コピックという便利なカラーペンがあるので、それで色付け。背景は基本的に白無地のままだ。プレゼント用にたまに凝って描いてみたりするが、これがなかなか難しい。絵というよりイラストを意識しているので、背景無しでその人だけを描くケースの方が多い。


仕事の傍ら、時間短縮で、20~30分で描き上げるためにいきなりペンで画用紙に描くのだが、この緊張感もまた良い。


でも納得いかないと、時間は3倍も4倍もかかってしまう。画用紙を何枚も捨てたり、色まで塗って完成したと思っても、やっぱり納得いかずシュレッダーにかけたり、そんな繰り返しだ。よくテレビで陶芸家が出来上がった茶碗をバキャンと壊しているのを、もったいないなぁと思って見ていたが、最近その気持ちがわかる気がする。


いつまで経っても下手だなぁと思いつつ、おっ、これは一発で上手く描けたと思える瞬間を求めて、やはりいきなりペンで描く。なんか仕事に似てるかな。


どこかで習ったの?と聞かれるが、独学。絵を描くのは子供の頃から好きだった。高校のときに母を亡くしたが、その母が工業高校のデザイン科の課長であり先生だった。その後、その高校が進学校に買収されてからは、母は美術の先生をしていた。それ故に、絵の具や筆や画用紙はいつもそばに在った。気が付けば、しょっちゅう絵を描いていた。


子供のころに好きだったこと、今でも好きなこと。そんなことを仕事に取り入れてみると、楽しく面白くなるかもしれない。


さて、今日の似顔絵は寺島実郎さん。わが社の講演会や共催するセミナーでお世話になっている。実際にお会いしてみると、迫力の中にやさしさが溢れる方。似顔絵は、寺島さんが主宰されている一般財団法人日本総合研究所に飾って頂いているらしい。


プロフィール

SMBCコンサルティング株式会社 常務執行役員 遠藤宏之

1989年住友銀行(現・三井住友銀行)入行、法人部門やリテール部門を経て現職。40歳ごろから行内で似顔絵を描く機会が増え、当サイトでも制作した似顔絵を所々で提供。

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