Netpress 第2144号 テレワーク時代の必須ツール ビジネスチャットの運用ルールと基本マナー
1.多様な働き方で業務効率や生産性を高めるために、ビジネスチャットは便利なツールです。
2.ビジネスチャットを組織に定着させ、チームとして成果を上げるための活用法を紹介します。
人財育成プロデューサー
菓子田 圭子
ビジネスチャットツールは、ビジネスシーンで使用されるコミュニケーションツールです。テレワークを実施する際の問題点として、たとえば資料・データの共有・参照や、社内外とのコミュニケーションなどが挙げられますが、これらはビジネスチャットの活用によって解決することができます。
以下では、ビジネスチャットを賢く活用するためのポイントを解説します。
1.業務効率化を促進するルールづくり
ビジネスチャットは、タイムリーに情報共有できることが利点のひとつですが、オン・オフのけじめを忘れると働き方改革に逆行してしまいます。また、スピーディな情報のやり取りが、心理的負担を招いてしまってもいけません。
そこで、きちんとした運用ルールを定めて、負担感をなくし、人によって使い方にバラつきが出ないように配慮することが必要です。次のような点に留意して運用ルールを定めましょう。
(1)利用時間を決めておく
ビジネスチャットでは、早朝や深夜、休日に連絡をすることは控えるのがマナーです。
ただ、早朝や深夜といっても、人によって感覚が違います。そこで、「原則として、利用するのは発信者の所定労働時間内のみ」など、社内で統一したルールを定めておくとよいでしょう。
(2)プロフィールに部署や実名を明記しておく
アカウントごとのプロフィール設定は、発言者の身分をはっきりさせるために、部署や実名を記します。
画像が登録できるのであれば、顔写真を設定しておくのもおすすめです。ふだん馴染みの薄い他部署のメンバーとやり取りする際に、自分を印象づけることができますし、親近感も湧くはずです。
(3)チャットルーム内の権限やセキュリティ対応を決めておく
チャットルーム内では、メンバーごとにアクセス権限を設定することができます。権限は次の3つです。
①管理者 | グループを作成した人、チャットルームへアクセス権限を与える権限を持つ人 |
②メンバー | グループに所属し、チャットを許可されている人 |
③閲覧者 | グループに所属していないが、チャットの閲覧のみ許可されている人 |
これらの権限をしっかり設定しておかないと、業務の混乱や情報漏洩などトラブルの元となります。誰にチャットを許可するのか、閲覧を許すのかを、管理者がきちんと決めることが大切です。
(4)通知機能の使い方を周知しておく
デスクトップの画面上にビジネスチャットを開いていなくても、新着メッセージが届いたことをポップアップで知らせてくれるのが通知機能です。設定の仕方を周知するとともに、商談中に顧客にパソコンの画面を見せる場合など、通知機能をオフにするシーンについても申し合わせておきましょう。
(5)チャットでの文章ルールを決めておく
ビジネスチャットは、短い文で簡潔にやり取りできるのが利点ですが、常に挨拶や敬語を省略してもよいのか迷うメンバーがいるかもしれません。トラブルを避けるためにも、文章表現のルールを社内で統一しておくとよいでしょう。
ビジネスチャットの文章表現の基本的なルール・コツをまとめると、次のとおりです。
①言葉づかいは丁寧すぎない敬語 | ◆砕けすぎず、堅苦しくない「です・ます調」を使う ◆「いつもお世話になっております」「お疲れさまです」などの定型文は省略する ◆「営業第2課〇〇グループの◇◇です」のように、所属部署は名乗らなくてよい |
②文頭や文末につけると効果的な文章(例) | [文頭] ・お問い合わせの件について、ご連絡します ・取り急ぎ、ご連絡します ・結論から言いますと~ ・【緊急連絡】【要回答】 → 強調したいときは【 】が効果的 [文末] ・返信は無用です ・(モバイル端末から送信) → 詳細な返信ができないことが伝わる |
③スタンプで「簡潔表現」、絵文字や顔文字で「感情表現」 | ◆簡潔な返信がよいときにはスタンプを使う ◆言葉で伝えにくいニュアンスは顔文字等を使う ・明日の11時までにご確認ください m(_ _)m ・皆さんのご協力で、プレゼンもうまくいきそうです (^o^) |
2.ビジネスチャットの基本マナー
(1)ビジネスにふさわしい内容を心がける
気軽さのあまり、人によってはプライベートの延長のような気分でビジネスチャットを利用しがちです。テーマや目的から逸脱したウケ狙いの書き込みをしたり、個人的な感想を何度も投稿したりすることは避けましょう。
関係のない投稿が増えると、肝心のメッセージが埋もれてしまい、他のメンバーに迷惑です。
(2)個人情報の漏洩に注意する
個人情報やプライバシー、自社や取引先の秘密、解禁前の情報などを安易に書き込んではいけません。情報漏洩は大きな問題につながります。プライバシーに関わる内容は、個人宛てに連絡をしましょう。
(3)メッセージに迅速に反応する
ビジネスチャットは、すぐにメッセージの確認や返信ができるのが利点です。できる限り迅速な返信を心がけましょう。
すぐに明確な回答ができない場合は、とりあえず「確認します」「○日までに返答します」などと返信します。
ただし、業務時間外に受信したメッセージについては、直ちに返信しなくても基本的に問題ありません。
(4)内容に応じて適切なチャットルーム(チャネル)で発信する
ほとんどのチャットツールでは、グループ単位で「チャットルーム」や「チャネル」を作成することができます。
複数のチャットルームに所属している場合は、内容に応じて適切なチャットルームだけで発信するのがマナーです。関係のないメンバーに不要な情報を流し、迅速な判断を妨げないように注意しましょう。
(5)メールと適切に使い分ける
ビジネスチャットよりメールが有効な場合もあります。特に、社外との改まったやり取りには、メールのほうがよいでしょう。とはいえ、取引先と頻繁にやり取りをする必要がある場合には、やはりビジネスチャットが便利です。自社のルールやセキュリティ対策を理解してもらったうえで、臨機応変に使い分けましょう。
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