一口メモ 1円玉とアルミ板

朝礼時の挨拶や、経営のヒントに――。日常の光景や歴史のエピソード、季節の話題等さまざまなトピックスを題材にまとめたミニコラムです。



炎暑が去り秋風が立ち始めるとそろそろノーベル賞の季節。今年は10月4日の医学生理学賞を皮切りに、5日物理学賞、6日化学賞、7日文学賞、8日平和賞、11日経済学賞の日程で発表される。


2002年にノーベル物理学賞を受賞したのは故・小柴昌俊氏。東大で学生たちから鬼軍曹と恐れられていた小柴氏だが、研究費の節約についても徹底していたという。


あるとき、宇宙線の測定実験で厚みのあるアルミ板を用意する必要があった。小柴氏は学生に1万円札を何枚か渡し、「銀行で1円硬貨に替えて来なさい」と言った。1円玉はアルミで出来ている。実験は1万円札を両替して出来た大量の1円硬貨を敷きつめて行い、終わったら銀行に持って行って、また1万円札に戻したという。材料費はゼロ。


小柴氏は著書で、「実験はアタマでするものだ」という趣旨のことを述べている。巨費を投じれば良い実験ができるというものではない。コスト削減の要諦はそんなところにあるのかもしれない。


◎「一口メモ」2021年10月号

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