Netpress 第2507号 経過措置が順次、縮小・終了! 中小企業でよくある消費税の処理ミスとは?
1.インボイス制度の導入の際に設けられた様々な経過措置が順次、終了・縮小となる2026年10月以降を控えて、依然として消費税関連の些細な間違いや思わぬミスなどが後を絶ちません。
2.ここでは、インボイスの実務に携わる担当者に向けて、よくある消費税関連の処理ミスについて解説します。
1.登録番号の記載のないインボイス等を保存している
インボイス(適格請求書)の登録番号の記載がない請求書や領収書を受領することがあります。
この場合、税込1万円未満の課税仕入れについてインボイスの保存を不要とする少額特例の適用を受ける場合を除き、領収書の発行元に連絡するなどして、登録の有無と登録番号を確認しなければなりません。
しかし、連絡先が不明で発行元が個人事業者の場合などは、国税庁のホームページで検索するのは困難であり、仕入税額控除が制限されることになります。
領収書等の受領に際しては、必ず登録番号や領収書の発行元の連絡先をチェックすることを忘れないよう、営業担当者等に徹底するようにしましょう。
2.消費税額または適用税率の記載のないインボイス等を保存している
インボイスには、「税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率」「税率ごとに区分した消費税額等」を記載しなければなりません。
また、簡易インボイス(小売業、飲食店業などで発行される一部の記載事項を省略したインボイス)には、「税率ごとに区分して合計した対価の額」「税率ごとに区分した消費税額等または適用税率」を記載しなければなりません。
実務上よくあるのは、適用税率または消費税額等の一方の記載がないか、どちらの記載もない手書きの領収書を受領・保存しているケースです。
小売業や飲食店業などの簡易インボイスなら、適用税率・消費税額等のどちらかが記載されていればよいのですが、手書きの領収書の場合には、どちらも記載されていないことがほとんどです。
このケースも仕入税額控除が制限されるため、必要な情報が記載されているか受領時にチェックを徹底しましょう。
3.取引内容の記載のない領収書を保存している
インボイスとしての要件を満たすには、「レシートではなく、正式な領収書が必要ではないか?」と誤解されている向きがありますが、インボイス(または簡易インボイス)の記載事項を網羅していれば、いわゆるレシートでも構いません。
レシートではなく領収書の交付を依頼した場合に、かえってインボイスの記載事項が漏れてしまうことがあります。特に「取引の内容」は、空欄の場合はもちろんのこと「お品代」という記載でも不十分です。
少なくとも標準税率適用か軽減税率適用かを判断できる程度の記載が必要ですから、受領時には注意してください。
4.消費税額の端数処理の誤り
インボイスに記載する消費税額等の計算は、次のいずれかの方法により行います。
| ① | 課税資産の譲渡等の税抜価額の合計額に100分の10(軽減税率適用の場合には100分の8)を乗じて算出する方法 |
| ② | 課税資産の譲渡等の税込価額の合計額に110分の10(軽減税率適用の場合には108分の8)を乗じて算出する方法 |
この計算により生じた円未満の端数処理(切上げ、切捨て、四捨五入など任意の方法)は、税率ごとに1回だけしか行うことができません。
したがって、インボイスに記載されている個々の商品ごとに消費税額等を計算して、1円未満の端数処理を行い、その合計額を消費税額等として記載することは認められませんが、実際には、複数回の端数処理が行われているインボイスが散見されます。
なお、日々の取引に際して交付する納品書と、月まとめの請求書とを組み合わせてインボイスの記載要件を満たす場合、納品書に「税率ごとに区分した消費税額等」を記載するときは、納品書につき税率ごとに1回の端数処理を行います。この場合、請求書に「税率ごとの消費税額等」を記載する必要はありませんが、納品書に記載した消費税額等の合計額を記載しても差し支えありません。
5.クレジットカードの請求明細書のみを保存した仕入税額控除
クレジットカードを利用して決済を行った場合、カード会社から一定期間ごとに請求明細書が交付されますが、この請求明細書のみを保存することで、仕入税額控除を適用している誤りが多く見られます。
クレジットカード会社が、そのカードの利用者に交付する請求明細書は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成・交付した書類ではないため、仕入税額控除の要件とされるインボイス記載事項を満たす書類には該当しません。
しかし、クレジットカードサービスを利用した際には、通常、利用者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が、領収書に代わるものとして「ご利用明細」等を発行しています。
この「ご利用明細」等には、次のような事項が記載されていることが一般的です。
| ▼その書類の作成者の氏名または名称 ▼課税資産の譲渡等を行った年月日 ▼課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容 ▼税率の異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額 ▼その書類の交付を受ける者の氏名または名称 |
こうした事項が記載された「ご利用明細」等を一緒に保存することで、仕入税額控除の要件を満たすことになります。
6. 下取りの処理誤り
車両の買い替え時のように、保有する資産を下取りさせて、下取り価額を控除した差額により資産の購入代金を決済する場合に、下取り価額を資産の購入代金の値引きとして処理する誤りが見られます。
課税資産の購入と同時にその取引先に対して他の課税資産を譲渡した場合、課税仕入れの対価の額は下取り価額を控除する前の金額です(消費税法基本通達10−1−17)。
なお、課税資産を下取りさせた場合には、その下取りは課税売上として認識されます。
◎協力/日本実業出版社
日本実業出版社のウェブサイトはこちらhttps://www.njg.co.jp/
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