Netpress 第2504号 成長企業の原動力 部門長に求められる 「役割」と「実務」とは?
1.部門長には、経営に直結する挑戦と、圧倒的なスピードが求められます。
2.部門経営には、「5つのマネジメント・プロセス」を確立することが不可欠です。
3.部下を褒め、認め、そして報いることで、組織の成長をけん引しましょう。
1.部門長の使命と覚悟
部門長の任に就いて以来、あなたは何を生み出し、どのような変化を起こしてきたでしょうか。
新規事業の始動、顧客価値の向上、社内制度の抜本的刷新、そして躍動する組織への変革――。部門長に任命されたということは、これらへの挑戦権を授かったということです。
経営陣の任命意図も、これら「経営に深く刺さる行動」へと自らの役割を昇華させてほしい、という点にあります。加えて、中堅・中小企業の部門長には、そこに圧倒的な「スピード」も求められます。
構想はすでに頭の中にあるはずです。即座にその実現に向けた挑戦へと動くべきです。
「まずは引き継いだ業務の様子を見る」「既存の関係を重んじて運営する」といった大企業然とした慎重さは、「経営の後退」を招くだけです。
企業にとっては、どれほど経営資源や情報が整っていようとも、経営に直結する動きを見せる部門長の存在に勝る強みはありません。部門長は、自らが企業の強みの源泉であり、経営成長の肝となる「幹部軍団」の一員であることを強く自覚してほしいと思います。
筆者は、これまで多くの企業の「経営人事」に携わってきました。
それらの中には、創業20年を超えてもなおベンチャー精神を持ち続ける企業もあれば、残念ながら創業時の情熱(理念ではなく、創業時の仕事との立ち向かい方、寝食を忘れ仕事に没頭するかのような日常)を見失ってしまった企業もあります。
私はそれらの企業と共に、「仕事の組み立て」と「人の熟達過程」の改革に取り組んできました。この二点は部門長の職務そのものであり、その改革は、成長企業に共通する「マネジメントの型づくり」に他なりません。
本稿では、多くの経営者との共同作業から導き出したマネジメントの型、すなわち「5つのマネジメント・プロセス」のエッセンスを紹介します。
2.5つのプロセスで組織を動かす
「経営に深く刺さる」役割を果たすためのスタートは、部門経営において、次頁に示した5つのプロセスを確立することです。
| ① | 目標を決める |
| ② | 期待を伝える |
| ③ | PDCAを徹底する |
| ④ | 仕事で人を鍛える |
| ⑤ | 褒め・認め・報いる |
これらは決して真新しい枠組みではありません。しかし、成果を伴わない流行の手法に価値はありません。シンプルな枠組みに自らの構想を注入し、実行を徹底することが重要です。
以下、各プロセスの詳細を確認してみましょう。
【① 目標を決める】
まず、「目標を決める」際、部門長が決める目標は、全社計画の単なる書き写しであってはなりません。現状(A)とビジョン(B)の距離を測り、到達までの工程まで具体化する必要があります。
過去の障壁を打破し、新たな価値を創出する目標は、現状の延長線上では到底達成できないレベルのものになるはずです。部門長は、現場のリアルを直視し、自らの意思で「目標」を定めるようにしましょう。
【② 期待を伝える】
次に、目標達成に向けて、誰に何を託すかという「アサイン」は、部門長として最重要の意思決定です。目標を決め、期待を伝え、実行を徹底するのが経営の基本です。
アサインには、対象となるミドル管理職等との対話が不可欠ですが、その中で彼ら彼女らが陥りがちな「現状維持」を容認してはなりません。前年踏襲の施策では、目標を達成することはできません。
部門長は、個々の力量を冷徹かつ温かく見極め、既存施策に変革を加えた「アサインリスト」を考え抜き、期待を込めて伝えましょう。それこそが真の「アサイン」です。
【③ PDCAを徹底する、④ 仕事で人を鍛える】
さらに、託した施策の実行局面では、PDCAを「仕組み」として徹底していくことが必要です。
仕事が複雑化する時代だからこそ、管理はシンプルであるべきです。月次の部門会議、週次のチーム会議などで、施策の成否を分析するとともに、メンバーの意見を施策に反映し、改善を図る場をつくりましょう。それもまた、部門長の重要な責任です。
このようなツールとしての場の整備は、ビジョンの実現や業績の向上が目的であり、「報告資料づくり」が目的ではありません。業績を見ない経営は甘いものです。業績をつぶさに把握し、プロセスを柔軟に切り替えていきましょう。
そして、このような「マネジメントの型」を通じた指導こそが、「仕事を通じて人を鍛える」過程でもあります。部門長は、個性ある部下たちが、経営最前線で自ら動き、目標達成に取り組む部門組織をリードしていくのです。
【⑤ 褒め・認め・報いる】
現場最前線において、「部下を褒め、認め、その貢献に報いる経営」を進めてください。
仕事に打ち込み周囲に働きかける者、現状を見直してさらに良い仕事に挑戦する者など、前向きな後進たちを高く評価し、適切に報いていきましょう。
3.最後に
以上をまとめると、部門長の実務とは「マネジメントの型づくり」であり、その型を通じた「マネジメントの指導」です。
部門長は、部門戦略を構想し、その実現に向けて現場を徹底して指導する「経営者」であってほしいと思います。成長企業の原動力となる部門長となってください。
◎協力/日本実業出版社
日本実業出版社のウェブサイトはこちらhttps://www.njg.co.jp/
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