Netpress 第2495号 不法就労助長罪が厳罰化! 外国人労働者を受け入れる際の留意点
1.2024年の入管法の改正により、「不法就労助長罪」の罰則が強化されることになりました。
2.改正の背景を押さえたうえで、外国人労働者を受け入れる際の実務上の留意点を解説します。
1.増加する外国人雇用と不法就労問題
2024年6月21日に改正入管法が公布され、不法就労助長罪の罰則が「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」から「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」(併科可)へと厳罰化されました。この改正法は、公布日から起算して原則3年を超えない範囲内において施行されます。
不法就労助長罪は、外国人に不法就労をさせたり、不法就労を斡旋したりした者を処罰する規定です。不法就労をした外国人ではなく、雇用(使用)する側に課せられるものです。
不法就労助長罪の最も重要な点は、雇用(使用)する側が不法就労の事実を知らなかったとしても、罰則が適用される可能性があるということです。つまり、身分確認などをきちんと行わないで不法就労となる外国人を雇用した場合にも、罰則が適用され得るのです。
今回の厳罰化の背景には、深刻化する人手不足を背景とした外国人雇用の増加に伴い、不法就労に関する問題が社会的な課題として認識されていることがあります。
また、育成就労制度の創設に伴い、悪質なブローカーが転籍(転職)を助長する恐れがあり、不法就労助長罪を厳罰化することで悪質なブローカーの排除を狙う政策的な意図も含まれています。
今回の厳罰化により、企業には外国人雇用に関して一層の注意義務が求められることになります。
2.外国人雇用の留意点
(1)日常的な管理・監督
外国人労働者を雇用した後も、継続的な管理・監督が必要です。特に以下に挙げる3点には注意が必要です。
① 在留期限の管理
企業は外国人労働者の在留期限を把握し、更新手続を適切に管理する責任があります。在留期限の確認を怠ったがために不法就労を助長したと判断されないよう、在留カードの有効期限は必ず把握しておかなければなりません。
在留期限の2〜3か月前から更新手続の準備を始めることが重要です。更新手続が遅れると、不法滞在状態となってしまう可能性があることに注意が必要です。
② 業務内容の適正性確保
雇用開始後も、外国人労働者が在留資格で認められた範囲内の業務に従事しているかを定期的に確認する必要があります。
人事異動や業務内容の変更がある場合は、その都度、在留資格との整合性を確認しましょう。
③ 労働時間の管理
留学生や家族滞在の在留資格で資格外活動許可を得ている外国人の場合、週28時間以内という労働時間の制限があります。
複数の事業所でアルバイトをしている可能性もあるため、他社での就労状況も含めて確認することが重要です。
(2) 違反を防ぐ社内体制の整備
不法就労を防ぐためには、組織的な体制の整備が不可欠となります。
① 担当者の明確化と教育
外国人雇用に関する担当者を明確にし、定期的な研修を実施しましょう。入管法の改正情報や在留資格に関する最新の知識を習得させることが重要です。
② チェックリストの作成と活用
採用時、在留資格の更新時、退職時におけるそれぞれのチェックリストを作成し、確認漏れを防ぎましょう。特に次の5項目は必須です。
| 1.在留カードの原本 | 2.在留期限 | 3.就労可否 | |
| 4.業務内容と在留資格の整合性 | 5.外国人雇用状況の届出の提出 | ||
③ 情報管理システムの構築
外国人労働者の在留期限や更新時期を一元管理できるシステムを構築することで、期限切れによる不法就労を防ぐことができます。
(3) 違反が発覚した場合の対処法
不法就労の疑いがある場合は速やかに事実確認を行い、万が一、違反の事実が発覚した場合には、就労を即時停止させなければなりません。
① 速やかな事実確認
不法就労の疑いがある場合は、速やかに事実関係を確認します。在留カードの再確認、出入国在留管理局への照会などを行い、正確な状況を把握しましょう。
② 就労の即時停止
不法就労の事実が確認された場合には、直ちに当該外国人の就労を停止させる必要があります。違反を知りながら継続して就労させると、さらに重い処罰を受ける可能性があります。
③ 専門家への相談
行政書士や弁護士など、外国人雇用に詳しい専門家に相談し、適切な対応を行うことが重要です。自己判断で対応すると、かえって状況を悪化させてしまう可能性があります。
④ 再発防止策の策定
違反が発生した原因を分析し、再発防止策を策定・実施します。社内体制の見直し、チェック体制の強化など、組織的な改善を行うことが大切になります。
外国人労働者の雇用は、日本経済にとって不可欠な要素となっていますが、不法就労助長罪の厳罰化により、企業にはこれまで以上に厳格な管理が求められます。
特に中小企業においては、限られた人的資源のなかで対応する必要があるため、早めの体制整備が重要です。適正な外国人雇用は、企業の成長はもちろん、外国人労働者の権利保護にもつながります。
◎協力/日本実業出版社
日本実業出版社のウェブサイトはこちらhttps://www.njg.co.jp/
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