SMBC経営懇話会 今月の耳より情報 ー 第12回(最終回) 約2,500名の新入社員にアンケートを実施 リアルな声を知ることで人材教育に役立てる

2022年度から毎年行っている「新入社員意識調査アンケート」。新入社員と直に接した研修講師たちが、集計結果を分析・解説する座談会も開催している。回答の裏にある彼ら彼女らの意外な本音の数々は、今後の社内教育の参考になるものばかりだ。



働き方改革やコロナ禍を経て労働環境が変化する中、新入社員の教育にあたって「これまでの指導方法は通用しない」「どう接してよいかわからない」と頭を悩ませる企業は多い。そんな企業にとってヒントになるのが、SMBCコンサルティングが実施している「新入社員意識調査アンケート」だ。同社が毎春開催する新入社員研修の受講者約2,500名を対象に、2022年度から継続している。


アンケート内容は、「社会人になって期待していること・不安を感じていること」「会社に求めること(風土面・制度面)」「今後のキャリアプラン」といった全14問の選択回答式。過去分とも比較できるよう毎年同じ質問を行っている。「これだけ多くの新入社員との接点があるので、企業の人材育成に役立つリアルな声を伝えられないかと考え、企画しました」と担当の金子さん。


集計結果はSMBC経営懇話会のコミュニティサイト「InfoLounge(インフォラウンジ)」で公開。さらに、新入社員研修で実際に彼ら彼女らと接している講師による座談会も実施している。24年度は初めて公開形式とし、4人の講師が回答の背景を分析・解説した。



回答の背景から見えてくる、新入社員の「本音」とは


近年の若手の特徴がうかがえるのが、「先輩・上司に求めること」という質問への回答で、「積極的にコミュニケーションを取ってくれる」「いつでも相談できる雰囲気がある」「丁寧な指導をしてくれる」が上位を占めた。受け身のように思えるが、リスクや失敗を恐れる気持ちの表れで、講師が研修時に会った新入社員からも、「先輩・上司に話しかけてほしい」との声があがったという。最近の若手は飲み会に参加したがらないといわれているが、実は、コロナ禍で失われたコミュニケーションの機会を貴重に思っているようだ。


また、「自信がある、発揮できると思うもの」での1位は「相手の意見を丁寧に聴く力」。議論を戦わせるよりも「和」を大事にする新人が多いことがわかる。一方、「今後、自分に必要だと思うもの」への回答では、「自分の意見をわかりやすく伝える力」が1位に。スマートフォンがあればすぐに答えを得られるという時代背景もあり、インプットに比べてアウトプットを苦手とする傾向が見て取れる。そのため、明確な答えがないものについて深く思考する、自分の意見を主張する、といったことを促す教育が有効そうだ。


公開座談会には、新入社員研修の申込企業の人事担当者を中心に数十人が参加。回答の裏にある新入社員の本音を知ることで納得感が高まり、「とても参考になった」と好評だった。座談会後には講師も交えた交流会が開催され、講師に積極的に質問したり、他社の参加者と情報交換したりする姿も多く見られたという。参加できなかった企業向けには後日、座談会の様子を収録した動画や、テキストで再編集した記事を配信した。



研修講師による公開座談会も開き、参加した人事担当者などから好評だった



金子さんは「座談会に参加した人事担当者の方から『直属の上司が新入社員教育に慣れておらず、若手への理解も足りない』との声を聞き、新入社員だけでなく、受け入れる側への教育にも課題を感じていることを再認識しました」とし、「すでに開催している、新入・若手社員の育て方をテーマにしたセミナーのブラッシュアップにつなげたいです」


25年度もアンケートと講師による座談会は実施予定で、「プロ講師との接点がある当社だからこそできる企画を提案していきたい」と金子さん。人材不足の今、ようやく採用できた新入社員に長く活躍してもらうためにも、リアルな情報をぜひ役立ててほしい。



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◎取材・文/村上あゆみ
◎「SMBCマネジメント+」2025年3月号掲載記事


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