Netpress 第2423号 アルコール検知器の寿命は? 交換する時期と法令違反を防ぐ対応策
1.安全運転管理者を有する白ナンバー事業者向けのアルコール検知器を使ったアルコールチェックの義務化から約1年ですが、使用期限を迎える検知器の確認と交換を適切に行う必要があります。
2.ここでは、アルコール検知器の寿命の目安と買い替え時の手順について解説します。
1.アルコールチェック義務化に関する法律上の規定
2022年に施行された「道路交通法施行規則 第九条の十(安全運転管理者の業務)」で、アルコールチェックについて以下の規定があります。
- 運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であって、国家公安委員会が定めるものをいう。次号において同じ。)を用いて確認を行うこと。
- 前号の規定による確認の内容を記録し、及びその記録を一年間保存し、並びにアルコール検知器を常時有効に保持すること。
このうちアルコール検知器関係は2023年12月から義務化されました。
2.アルコール検知器の仕組みと寿命
アルコール検知器がアルコールを検知するセンサーには、主に「半導体式」と「電気化学式」の2種類があります。
半導体式ではセンサー表面の酸素とアルコールの反応で電気抵抗値が変化することで、電気化学式ではアルコールを燃料として発生する電流量でアルコール濃度を測定する仕組みです。
これらのセンサーは、使用回数や時間の経過に伴って劣化するため、メーカーでは使用期限や使用回数の上限を設けています。
3.アルコール検知器の寿命が来たら対応が必要な理由
道路交通法施行規則により、アルコール検知器は常時有効に保持する必要があり、測定精度が低下している状態や壊れた状態での運用は法律違反となります。
また、道路交通法でも、自動車の使用者は安全運転管理者が業務を行うために必要な機材を整備しなければならない、とされています。
アルコール検知器の寿命が原因で飲酒運転を見逃し、事故を起こしてしまった場合はもちろんですが、事故を起こさなくても不備のある機器を使用しているだけで、安全運転管理者や会社自身も責任を問われる可能性があります。
そのため、メーカーが提示している使用期限や使用回数の上限を寿命の目安として、アルコール検知器を交換する運用が必要です。
4. アルコール検知器の寿命の目安
アルコール検知器の一般的な寿命は以下のとおりです(メーカーや機種によって異なる場合があります)。
- 使用期間:1年~1年半
- 使用回数:3,000回まで
機器によりますが、アルコール検知器の寿命が近づくと、警告表示の点灯、測定値の不安定化、反応速度の低下などのサインが現れます。
使用回数は機器側で通知を出してくれることが多い一方、使用期限は購入日等から自社で管理する必要があります。
5. センサー交換が可能な場合の手順
センサー交換が可能な場合、メーカーへの連絡、機器の送付、専門技術者によるセンサー交換、校正と動作確認、返送と再設置という手順を踏みます。
自社で交換が可能な機種もありますが、不適切な交換は機器の故障や測定精度の低下の可能性があります。
6. センサー交換ができない場合の買い替え手順と注意点
センサー交換ができない機種の場合、新機種の選定、予算確保、購入と設置、旧機種の適切な処分、スタッフへの新機種使用法の研修という手順で買い替えを行います。
アルコールチェックは安全運転管理の重要な一環ですが、関連業務は多岐にわたり、時間と労力を要します。これらの業務を効率化するには、アルコールチェック用のシステムを導入することがおすすめです。
7. 関連するさまざまな業務と効率化の必要性
アルコールチェック関連業務には、日々のチェックの実施、結果の記録と保管、機器の点検とメンテナンス、異常値検出時の対応、スタッフ教育、在庫管理、関連書類の作成・提出など多くの作業が含まれます。
これらの業務を手動で管理することによる時間的コストや人為的ミスのリスク、法令違反リスクなどの問題を解決するためには、業務のシステム化なども有効です。
アルコール検知器は、使用に伴って劣化するため、寿命があります。アルコールチェックの実施や有効な状態での保持には法的義務があるため、使用期限を迎えた場合はセンサー交換や機器の買い替えが必要です。
また、緑・白ナンバーを問わず全事業者にはアルコール検知器の日常点検も義務付けられていて、定期メンテナンスとあわせて測定精度の維持と故障の予防、法令遵守に役立ちます。
さらに詳しい内容を確認するにはこちらのページをご覧ください。
https://mobilitas.smauto.co.jp/useful/alcoholchecker/?lfcpid=36141
◎協力/日本実業出版社
日本実業出版社のウェブサイトはこちら https://www.njg.co.jp/
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