Netpress 第2420号 フォルダリングシステムの確立 フォルダツリー設計と データ管理の進め方

Point
1.仕事を基準としたフォルダリングシステムにより、必要なデータを共有しやすくなります。
2.機能分類表とフォルダツリーにより、会社に必要な機能と仕事の手続の流れが見えるようになります。


一般社団法人 中部産業連盟
伊東 辰浩


 フォルダリングシステムとは、仕事に必要で入手したデータや仕事の結果として作成したデータを有効に活用、処理するために、分類、整理、保管、保存、さらには廃棄に至るまでを体系的にシステム化した「データの管理体系」のことです。フォルダリングシステムのポイントは、以下のとおりです。


  • 仕事に関連付けて必要なデータを探しやすいように、保管、管理する(仕事を基準としたフォルダリングシステム)
  • 会社の「かくあるべし」を想定し、その会社に必要不可欠な機能を検出し、また、現状の機能をリストアップし、仕事の流れやプロセスに沿った仕組みを構築する


1.フォルダリングシステムの目的

(1) データ(情報)の共有化・有効活用

 データの共有化を図ったフォルダリングを実施して、必要なデータ(情報)を誰でも有効活用できるようにします。必要なデータを共有することで、お互いに助け合い(余力と知恵の融通)のできる職場環境、組織体質へ改善します。


(2) データの整理

 不要なデータを作らない、残さないルールを設定し、電子媒体の記憶容量をムダに占有することを防止します。

 また、必要なデータのみをフォルダリングして、かつ、データの移管(保管→保存、保存→廃棄など)をシステマチックにできるようにして、データが一定量以上増えないようにします。


(3) データ探し時間の短縮

 必要なデータを、誰でも・短時間ですぐに見つけられるようにして、仕事の遂行を阻害しないようにします。


(4) 情報セキュリティ管理体制の強化

 必要性に応じたアクセス権限のルールを明確にすることで、情報の機密性・完全性・可用性を保護します。



2.フォルダリングシステムの特色

(1) 仕事のビジュアル化

 フォルダリングシステムの構築過程で作成する機能分類表により、その企業で必要な機能(仕事)がわかります。


(2) 仕事の手続のビジュアル化

 サーバ内に機能順にフォルダを設定していくと、フォルダの並び方を見ただけで仕事の手続の流れがわかります。


(3) 仕事に必要なデータのビジュアル化

 各フォルダの中を見れば、仕事を進めるうえで、どのようなデータが必要なのかがすぐにわかります。


3.フォルダリングシステム確立の基本手順

  • 手順1:フォルダリングシステム確立の準備

 フォルダリングシステムを確立するにあたって、事前の準備を行います。具体的には、個人PCのデータの持ち方、フォルダ設定、ファイル名の付け方などの現状を把握し、問題点を抽出・共有して、データの持ち方の定義・共有、共有サーバへのセンター化を行います。


  • 手順2:機能分類の設計

 機能をもとにしたフォルダリングシステムを構築するには、企業の将来を見据えて必要になる機能を検出し、また、現有する機能をリストアップする必要があります。

 まずは、演繹的アプローチにより、企業の「かくあるべし」を明確にし、それに必要不可欠な機能を検出します。その後、「かくあるべし」では現有機能が漏れる可能性があるため、機能的アプローチで現有する機能をリストアップします。

 検出あるいはリストアップされた機能は、大分類機能、中分類機能、小分類機能と階層別に設定しながら進め、その結果を「機能分類表」(下図参照)にまとめます。



  • 手順3:フォルダ体系の設計

 機能分類を設計し、機能分類表が完成したら、各小分類機能に関連するデータを棚卸して、「フォルダ体系表」を作成します。


  • 手順4:フォルダ基準の設定

 フォルダ体系表を作成したら、次はフォルダ基準を設定します。フォルダ体系表をもとに、機能分類に基づいたフォルダ階層、各データの作成ソフト、データ保管責任部門、保管状態、サーバ設置場所、ドライブ名、アクセス権、データ保管期間/保存期間、バックアップなどを設定し、その結果を「フォルダ基準表」にまとめます。


  • 手順5:フォルダツリーの作成

 フォルダ基準表を作成したら、それらをもとに実際に共有サーバ内にフォルダツリー(下図参照)を作成します。



  • 手順6:フォルダリング

 フォルダツリーを作成したら、ファイル名の付与ルールを設定し、データを新フォルダへと移行します。


  • 手順7:評価と改善・標準化

 フォルダリングシステムを運用したら、目的に沿って、定量評価と定性評価の両面を行います。

 定量評価は具体的な数値データを用いてシステムのパフォーマンスを評価することであり、定性評価は使用者のフィードバックや使い勝手を評価することです。特に定性評価の結果から改善が必要であれば、改善案を立案し、改善を実施します。改善案の効果が確認できたら、標準化を図ります。フォルダリングシステムの標準手順書を作成し、従業員に教育し、手順が適切に守られているかを定期的にチェックしていきます。


◎協力/日本実業出版社
日本実業出版社のウェブサイトはこちら 
https://www.njg.co.jp/



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