多田智子の働き方改革関連コラム 令和6年度の地域別最低賃金額が公表されました

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今回は、最低賃金についてお知らせします。


厚生労働省は、中央最低賃金審議会が7月に示した改定目安をもとに各都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した結果を取りまとめ、8月29日に令和6年度の地域別最低賃金の改定額および発効予定年月日を公表しました。

今後、全国の都道府県労働局長の決定により、10月1日以降改定額が順次発効される予定ですので、各企業においては、自社で雇用している従業員の賃金額が改定後の最低賃金額を下回っていないかどうか、10月に向けて改めて確認が必要です。

令和6年度地域別最低賃金の傾向

令和6年度は47都道府県の全てにおいて50円以上の引上げとなり、引上げ額が最高となったのは徳島県の84円でした。引上げ額の全国加重平均は51円で、昨年度の43円を大きく上回って昭和53年(1978年)度に目安制度が始まって以来の最高額を更新しました。

 また、改定額の全国加重平均額は1,055円(昨年度1,004円)に増加し、最高額の東京都は1,163円となっています。最低賃金額が1,000円を超える都道府県は、昨年度8都府県だったところ、今年度は新たに8つ(北海道、茨城、栃木、岐阜、静岡、三重、滋賀、広島)が加わり16都道府県となりました。




最低賃金の基本的なポイントをおさらい

ここで改めて「最低賃金」について確認してみましょう。


Q1.最低賃金制度とは?
「最低賃金法」に基づき国が賃金の最低限度額を定め、使用者は定められた最低賃金以上の金額を労働者に支払う義務があるという制度です。仮に労使合意の上で最低賃金よりも低い金額で労働契約を締結したとしても、法律上は無効となり、最低賃金額で契約したとみなされる強行法規です。


Q2.最低賃金の種類は?
最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。前項でもご説明した「地域別最低賃金」は各都道府県に1つずつ定められ、パートタイムやアルバイト、日雇い勤務等、名称や雇用形態、働き方や事業内容等に関係なく、その都道府県内で働くすべての労働者と使用者に適用されます。一方、「特定(産業別)最低賃金」は特定の産業の基幹的労働者とその使用者に適用されます。


Q3.「地域別最低賃金」で適用される都道府県はどのように判断する?
雇用されている企業の本社所在地等がどこであるかに関わらず、「労働者が実際に働いている事業所」等通常勤務の拠点となっている都道府県の最低賃金が適用となります。但し、テレワークにより自宅等で勤務する場合は、テレワークを行う場所ではなく、その労働者が属している事業場の所在地の最低賃金が適用になります。
なお、派遣労働者の方は、派遣元企業の所在地に関係なく、「派遣先」の最低賃金が適用となります。


Q4.最低賃金の比較対象となる賃金は?

「所定内賃金」といわれる通常毎月支払われる基本的な賃金が対象となりますので、実際に支払われる賃金から以下の賃金項目を除外して計算します。

  1. 臨時に支払われる賃金(慶弔見舞金など)
  2. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど)
  3. 所定労働時間を超える時間に対し支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時~午前5時までの労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当および家族手当


Q5.最低賃金額を超えているかどうかチェックする場合は?

地域別最低賃金は「時間額」で定められている為、「時給」以外の計算方法、たとえば「日給」や「月給」での労働契約となっている場合には、対象となる賃金額を「時間額」に換算した上で比較する必要があります。一例として「月給制」の場合、以下のような計算式で時間額を求め、最低賃金額と比較することになりますのでご留意ください。

月給額(※Q4参照) ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額


その他詳細については、以下の厚生労働省特設サイトにてご確認ください。


※関連リンク

〇 厚生労働省「かならずチェック最低賃金



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