SMBC経営懇話会 今月の耳より情報 ー 第3回 取締役・執行役員の意識改革と知識習得をサポートする
取締役や執行役員に就任すると、求められる役割や資質がそれまでとは一変する。実務として何をすればいいのか、イメージできない人も多いだろう。
「本セミナーは取締役や執行役員の方々が、実務ですぐに使える知識とスキルが身につく内容となっています」と東京会場担当の知久さんは話す。
会計や法律をはじめ、コンプライアンス、経営戦略、リーダーシップなど、必要な項目を選んで受講でき、経営幹部として押さえておくべき知識のエッセンスを1~5日間で学べる。
例えば、財務諸表も管理職時代と経営幹部になってからとでは、見るべき点は大きく異なる。「ある部分を詳細に見るのではなく、大局的に把握すること」「業界や社内のルールではなく、原理原則に基づいて理解すること」「自社特有の価値観や用語ではなく、社会一般に通じる言葉で語ること」など、座学だけでなくグループワークなども通して、受講者は学びを深めることができる。
人によっては、未経験の分野に取り組まなくてはならない場合もある。大阪会場担当の江口さんは、「決算書の読み方を受講されていた方は、『ずっと現場一本でやってきたので、決算数字はまったくの門外漢。恥ずかしくて周りに聞けなかったが、セミナーを受けて数字の意味がわかるようになった』と喜びの声を語ってくれました」と話す。
社外取締役や経営幹部候補者の受講者も多数
受講者の多くは、自社の研修プログラムの一環で参加するが、近年は社外取締役への選任を機に、個人で申し込む人も少なくない。「期待される役割を果たすために、基本的な知識を身につけて臨みたいという意欲の表れを感じます」(知久さん)。
受講者は新任者ばかりではない。すでに取締役に就いているが、外部の専門家や監査法人と話す機会が増えて対応に戸惑ったという人や、今はまだ経営幹部候補だが将来に備え早めにその心得を学んでおきたいという人もいる。
luchunyu/Getty Images Plus
また、コロナ禍による自粛期間中に就任した人には、特有の事情もある。「就任から2、3年経ってようやくセミナーを受講でき、自分は何も知らないまま取締役として過ごしていたのだと気づいた。今から思えば危ない場面もあった。着任時に学べていたら、もっとうまく立ち振る舞えたのに」という、切実な声もあった。
受講終了後の満足度はおしなべて高い。「次回の経営会議で早速、的確な発言ができそうだ」「どのような視点で会話や議論をすればいいのか、勘所がつかめた」「自分の役割を明確に知ることができた」など、前向きな声が多数聞かれる。
一方で課題もある。コロナ禍を契機にスタートしたオンライン型セミナーも好評だが、現状はグループワークやディスカッションなどができず、座学のみとなっている。担当者は「今後はもっと来場型の臨場感に近づけられるよう、双方向性を高める工夫をしていきたい」と最良の方法を模索する。
コンプライアンスへの社会的要請は年々増すばかりで、一人の不祥事によって会社は大きな損失を受け、社会的な信頼を失う。また、東京証券取引所が示すコーポレートガバナンス・コードにおいて「取締役・監査役のトレーニングの実施」が掲げられていることから、上場企業をはじめとして経営幹部が役割・実務を学ぶことは、責務になりつつある。
こうした社会の風潮は今後も続くと思われ、新たに経営幹部となる者に対して必要な知識を学ぶ機会を用意することは、企業にとって必須の取り組みになっていくだろう。
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