多田智子の働き方改革関連コラム リカレントを後押しする「教育訓練給付」拡充を含めた雇用保険法改正案が国会に提出されました
今回は、雇用保険法の改正についてお知らせします。
リカレントとは、学校を卒業し社会に出た後もそれぞれの人が必要なタイミングで主体的に教育を受け、仕事と教育を繰り返すことを指しますが、社会が目まぐるしく変わる中で、働く人にとっての学びなおしはキャリアアップやキャリアチェンジのために必要です。
雇用保険の「教育訓練給付制度」は、働く方々の主体的な能力開発や中長期的なキャリアアップを支援し、雇用の安定と就職を促すことを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了した場合に自己負担した受講費用の一部につき給付を受けられる制度ですが、令和6(2024)年2月9日、働く人の学びなおしを支援・強化するため、この教育訓練給付の拡充策を含めた「雇用保険等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、同日国会に提出されました。今回は、今後法案が成立すれば施行が見込まれる「教育訓練給付」の一部改正内容について取り上げます。
〇教育訓練給付の拡充(施行予定:2024年10月)
教育訓練給付には、厚生労働省が指定する教育訓練の講座内容等に応じて、中長期的なキャリア形成に資する「専門実践教育訓練」、速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する「特定一般教育訓練」、また、前述以外の「一般教育訓練」の3種があります。今回の改正法案では教育訓練の効果を高めるインセンティブ強化策として、「専門実践」と「特定一般」の2種について、訓練受講後の賃金増加や資格取得等した場合に追加の給付が行われることにより給付率が引き上げとなる予定です。
※出典 令和6年1月12日労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(第193回)参考資料2
〇教育訓練休暇給付金(仮称)の創設(施行予定:2025年10月)
働きながらの学びなおしにおいて、比較的長期間の教育訓練を受ける必要がある場合でも生活費等の不安なく教育訓練に専念できるようにすることは重要です。今回の改正法案では、一定の要件を満たす雇用保険被保険者が、在職中に無給で教育訓練のための休暇を取得した場合、その期間中の生活をサポートするために賃金の一定割合を支給する新たな給付(仮称「教育訓練休暇給付金」)を創設することが盛り込まれています。この給付は離職した場合に支給される「基本手当」相当額となる予定です。
※出典 令和6年1月12日労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(第193回)参考資料2
人生100年時代において、働きながらも主体的に学びを続けることは何歳になっても重要となります。現在「教育訓練給付」の対象として厚生労働大臣の指定を受けている講座は、「教育訓練講座検索システム」にて検索できますので、今後の国会における審議に注目しながらリカレントについて考えてみるのはいかがでしょうか。
※関連リンク
○ 厚生労働省 教育訓練給付制度
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プロフィール
多田国際コンサルティンググループ 代表社会保険労務士 多田智子
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