Netpress 第1989号 伝わる! スラスラ書ける! 新入・若手社員のための「ビジネスメールの基本」

Point
1.デジタルネイティブ世代の新入・若手社員は、メールを自在に使いこなしているとの自負があるかもしれませんが、ビジネスメールとプライベートのメールを同じ感覚で使うと、思わぬトラブルを招きます。
2.ここでは、社会人として最低限知っておくべきビジネスメールの基本について解説します。


日本ビジネスメール協会 代表理事 平野 友朗


ビジネスでは、社内・社外を問わず、さまざまな相手にメールを送ることになります。面識がない相手とのコミュニケーションも多いため、わかってくれるだろうという都合のよい期待は禁物です。

メールは、相手の立場に立って、相手に伝わるように書くことが求められます。宛名を書かなかったり、名乗らなかったりすれば、「雑だ」「礼儀を知らない」と思われることになるでしょう。

礼儀をわきまえたうえで、わかりやすく、相手に伝わるメールを書くためには、「メールを構成する7つのパーツ」がポイントになります。メールの本文は、上から順番に、次の7つのパーツで構成されています。


(1)「宛名」  (2)「挨拶」  (3)「名乗り」  (4)「要旨」  (5)「詳細」  (6)「結びの挨拶」  (7)「署名」


この7つのパーツの要点を押さえておけば、誰が読んでもわかりやすいビジネスメールが完成します。1つでも欠けてしまうと、雑な印象を与えたり、違和感を与えたりするので注意しましょう。

(1) 「宛名」のポイント

冒頭には宛名を書きます。メールを開封して最初に目に入る箇所なので、「誰宛てのメールか」を伝えます。

受信者側も、自分の名前が書かれていれば「自分宛てのメッセージだからしっかり読もう」と考えます。宛名が書かれていないと自分宛てか判断がつかず、読みながら誰に向けたメッセージかを考えなくてはなりません。

宛名を書く際は、相手の名前を間違えないようにします。名前は、名字だけよりも、フルネームのほうが丁寧な印象を与えます。敬称の付け忘れにも注意する必要があります。

どの敬称を使うかは、置かれた環境や習慣によって判断します。相手が企業に所属している場合は、会社名や部署名、役職まで書いてもよいでしょう。

ただし、毎回丁寧に書くと堅苦しい印象を与えることがあるので、部署名や役職を省略するなどの調整もします。

(2) 「挨拶」のポイント

挨拶を書かずに本題に入ると、唐突で性急な印象を与えます。メールは、電話応対にも似ています。電話では挨拶をしてから話を始めますが、メールでも同じようにまず挨拶をします。

1日に何度もやり取りする場合であっても、簡単な挨拶は入れましょう。もちろん状況によって挨拶の省略は可能ですが、省略されたことで、相手が失礼だと感じない場合に限ります。

(3) 「名乗り」のポイント

挨拶をしたら名乗りましょう。送信者名を表記していても、相手が送信者名を見ないまま開封する可能性を考慮しなければなりません。

名乗りがないと、送信者の名前を確認するためにメール末尾の署名欄を確認してから、また最初に戻って読み始めるということにもなりかねません。このような作業は、読み手にとって負担になります。冒頭に名乗りがあることで、誰からのメッセージであるかを読み手は認識し、理解につなげています。

社外に向けて送るメールには、会社の正式名称と名前を書いて名乗ります。大手企業の場合は、所属部署も書いたほうが親切です。初めてメールを送るときは、「△△をしております、○○と申します」というように、簡単な自己紹介を加えるとよいでしょう。

(4) 「要旨」のポイント

挨拶と名乗りの後は、いよいよ本題に入りますが、いきなり詳細を書き始めてはいけません。まずは、どんなテーマでメールを書いているのか、要旨(全体像)を伝えます。


【要旨の例】

・ご提案内容について確認があり、ご連絡いたしました。

・ビジネスメール講座(7/13)会場変更のお知らせです。

・次回のITフェアの日程が決まりましたので、詳細をお知らせいたします。

・○○について確認したい点があり、メールをお送りしました。


このように、全体像を示すことにより、相手もその後に書かれていることに集中しやすくなります。

「先日、○○社を訪問したところ・・・」「本日、○○さんから電話があって・・・」というように、時系列で経緯を書くと、何を論点にメールが書かれているのか、わかりません。情報を提示しても、全体像が見えず、主題もわかりにくいため、相手は困惑してしまいます。まずは、メールの要旨を簡潔に説明しましょう。

(5) 「詳細」のポイント

この部分が、メールで最も伝えたい情報です。相手にたくさんのことを伝えたい、自分の考えを理解してほしい、不足がないようにしなければ、とあれこれ書きたくなるかもしれません。

しかし、重要なのは、メールの主題を的確に伝えることと、主題に関して相手が必要とする情報をモレなく伝えることです。情報が多くなること自体は悪いことではありませんが、1回読めば理解できるメールが理想的です。

必要な情報を載せたにもかかわらず、相手に伝わらなかった場合には、メールの内容がわかりにくく書かれていなかったか、確認する必要があります。

(6) 「結びの挨拶」のポイント

メールの最後では、結びの挨拶をします。結びの挨拶で一般的に使われるのは、「よろしくお願いいたします」です。状況にあわせて頭に言葉を足してもよいでしょう。

たとえば、「ご検討よろしくお願いいたします」「ご確認よろしくお願いいたします」など、最後に念押しの一言を添えることで、メールの主題(確認や検討など)を強調することができます。

メールの主題に応じて適した言葉、相手がメールを読み終えてから気持ちよく行動に移せるような言葉で締めくくるようにしましょう。

(7) 「署名」のポイント

メールの最後に署名を付けます。署名が付くことによって、メールが終わったことを示します。相手がメール以外の連絡手段を使う場合の選択肢を提示する役割も担います。

会社で署名のルールが決まっているときは、指定の署名を使用します。署名は、メールソフトに設定しておけば、メール作成の都度、自動で挿入されます。登録情報に間違いがないよう気をつけましょう。


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