一口メモ タゴール、その詩を読むのは誰か

朝礼時の挨拶や、経営のヒントに――。日常の光景や歴史のエピソード、季節の話題等さまざまなトピックスを題材にまとめたミニコラムです。



「今から100年後に/私の詩の葉を/こころを込めて読んでくれる人/君は誰か」とインドの詩聖ラビンドラナート・タゴールが書いて約100年がたつ。非西欧圏で初のノーベル文学賞受賞者となった彼は、「タゴール・ソング」と呼ばれる2000曲以上もの歌をつくり、今なお多くの人々に愛唱されている。


ヒンドゥー教徒が8割を占めるインド、イスラム教徒が9割を占めるバングラデシュ両国の国歌もタゴール・ソングだ。若者たちはタゴール・ソングをラップにアレンジしたりしている。日本にそんな100年前の歌があるだろうか。


岡倉天心、河口慧海(えかい)らとの交流を通じて自然、暮らし、祈りが一体となった日本文化に関心をもったタゴールは、5度も来日する親日家であったが、同時に「アジアは武力によってではなく、文化によって一つでなければならない」と、軍国主義に舵を切る当時の日本への警鐘も忘れなかった。


今、そんな彼を生んだ国がコロナ禍で猖獗(しょうけつ)を極める。「私の前を歩かないで/私の後ろをついてもこないで/いつも私のそばに友のようにいてほしい」。その詩の葉を読むのは誰か。


◎「一口メモ」2021年6月号

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