多田智子の働き方改革関連コラム 2024年4月から障害者の雇用等に関わる法律が変わります

多田国際社会保険労務士法人は、忙しいビジネスパーソンが知りたい【労務管理に関する旬な情報】を厳選してお送りします。
今回は、障害者雇用促進法等の法改正についてお知らせします。


国は障害のある人もない人も、お互いにその人らしさを認め合いながら共に生きる社会(共生社会)を実現することを目指しています。

2024年(令和6年)4月1日から、障害者の雇用や合理的配慮に関する改正法が施行されますので、今回は事業主として留意しておきたい点をまとめました。

法令を遵守することはもちろんですが、企業の社会的責任が増す中で、ダイバーシティ&インクルージョン経営という観点からも、障害のある方もその特性と能力に応じて共に活躍できる社会を創るため、誠実に取り組むことが求められています。


障害者の法定雇用率引上げ

現在、民間企業における障害者の法定雇用率は2.3%ですが、2024年4月1日以降は「2.5%」に引き上げられます。これにより、これまでは労働者を43.5人以上雇用する事業主に1人以上の障害者を雇用する義務が課せられていましたが、2024年4月1日以降は「40人以上」の労働者を雇用する事業主に適用範囲が拡大します。

なお、この法定雇用率は今後段階的に、2026年(令和8年)7月には2.7%へ引き上がります。今後の引上げも見据えて、障害者の採用と採用後の定着には、中・長期的な取組みが必要です。


※出典 厚生労働省「障害者の法定雇用率引き上げと支援策の強化について」


〇週所定労働時間10時間以上20時間未満で働く精神障害者、重度身体・知的障害者の算定特例

障害者雇用促進法において事業主に雇用義務が課せられているのは、週の所定労働時間が20時間以上の労働者となっていますが、障害の特性から長時間働くことが難しい障害者の雇用拡大を図るため、2024年4月1日以降は、週所定労働時間が特に短い10時間以上20時間未満で働く精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者を「特定短時間労働者」とし、雇用率の算定に含めることができるようになります。


※出典 厚生労働省「算定対象となる労働者の範囲や算定方法(令和5年6月12日開催第129回障害者雇用分科会資料より抜粋)」



〇障害者への「合理的配慮の提供」義務化

「障害者雇用促進法」においては2016年以降、事業主に対して「合理的配慮の提供」が義務化されていましたが、一方、「障害者差別解消法」ではこれまで、サービス等を提供する民間の事業者が、障害のある人からの求めに応じ「合理的配慮の提供」を行うことは努力義務とされていました。

しかしながら、2024年4月1日からは「障害者差別解消法」においても事業者等の「合理的配慮の提供」が義務となります。民間の事業者等が求められる「合理的な配慮の提供」は、一人ひとりの障害特性や、それぞれの状況・場面によって異なる為、当事者との建設的な対話を通じて必要としているサポートを確認し、柔軟に対応することが必要となります。


事業者等に求められる「合理的配慮の提供」の具体的な事例等詳細については、内閣府リーフレットをご参照ください。



※関連リンク

○ 厚生労働省 令和4年障害者雇用促進法の改正等について

〇 内閣府 障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト 



多田国際社会保険労務士法人・働き方サイト
企業における働き方改革関連制度の導入について、何からスタートしていいのかわからない、他社事例を知りたいなど悩みが多いかと思います。上場企業を中心に240社の相談顧問先を有する多田国際社会保険労務士法人がサポートします。 http://wsr.tk-sr.jp/



プロフィール

多田国際コンサルティンググループ 代表社会保険労務士 多田智子

私たち多田国際コンサルティンググループは、多田国際コンサルティング株式会社と多田国際社会保険労務士法人で構成しております。

多数の社会保険労務士・中小企業診断士・人事コンサルタント等を擁する、独立系コンサルティングファームです。労働法・社会保険法からのサポートのみならず企業のIPO支援、海外進出、M&A、人事制度構築、社員教育など多様な専門性とサービス展開により人的資本の側面から企業価値向上をサポートして参ります。

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