Netpress 第2360号 Z世代との接し方 お金、出世、相談、褒めることの最新行動例

Point
1.世代を超えてわかり合うことは無理だと割り切り、上司の側から歩み寄るようにしましょう。
2.お金や出世が刺さる時代ではないからこそ、「社会貢献」と「生涯現役」がキーワードです。
3.「相談」と「褒めること」は、上司から行うことと、その頻度が重要なポイントになります。


セレクションアンドバリエーション株式会社
代表取締役 平康 慶浩


1.今時の若手を理解するキーワード「Z世代」

年長者と年少者がわかり合うことはできません。


諸説あるところですが、だいたい年齢±20%までなら理解できるといわれていて、その年齢を超えると理解することが難しくなります。


問題は、この±20%がそれぞれの年齢を起点にしていることです。


上司が35才、部下が28才だとすると、上司からすれば35×0.8=28、とまだ理解できるわけですが、部下からすると28×1.2=33.6と、ぎりぎりわからない年齢です。


上司の側は親しく話をしても、部下からするとよくわからない、という状況になりがちです。


さらに、上司が50才で部下が25才といった場合であれば、これはもうまったくわかり合うことができないと思ったほうがいいでしょう。


上司が権力を振りかざせた時代であれば、部下側に上司側を理解することを強制することもできましたが、そんな時代ではありません。


だとすると、上司に必要なスタンスは「わかり合えないことを前提としたコミュニケーション」です。


会社という組織が運命共同体だった時代は過去のものです。


プロジェクト的に仕事がしっかり回る状態をつくりあげるということが目的であれば、プライベートまで理解する必要はないのです。


オフィシャルな仕事においてしっかり活躍してくれれば、それで充分ではないでしょうか。


今時の若者を示す「Z世代」というキーワードも、ぜひ積極的に理解するための指針としましょう。


Z世代とは、1995年生まれ以降をさす世代区分であり、不況とSNS普及のなかで、働く動機とコミュニケーションの取り方に特徴があるといわれています。


彼らに何が刺さるのかを理解して実践すれば、理解できなくてもマネジメントが可能です。

2.働く動機がお金ではない?

上司側がよかれと思って「仕事で成果を出せば昇給するからがんばろう!」と伝えても、刺さらないことがあります。


逆に「お金はもちろん大事ですが、それだけじゃないと思うんです」と返されたら、あなたならどう答えますか?


不況のなかで育ったZ世代にとって、ぜいたくな生活をすることはあこがれではなくなっています。節約することはカッコ悪いことではなく、コスパがよいことなのです。


そうであるとすれば、どんな動機にアプローチすれば彼らに刺さるのでしょう。


重要なキーワードは「社会貢献」です。その仕事によって、どんな社会貢献ができるのか。


自社の商品やサービスを提供することで生み出せる価値についてあらためて話し合ってみると、上司の側にとっても気付きを得られることでしょう。


そして、そのために頑張った結果として、お金「も」もらえることが動機付けになります。

3.出世のために成長したいわけじゃない?

「会社が求めるDXスキルを身につけたら早く出世できるぞ!」と伝えても、「それ本当に私にとって必要でしょうか?」と言われたら、何てやる気がない若者だ、と思ってしまいますよね。


しかし、問題は「出世」を皆が求めているという思い込みかもしれません。


一社に勤め上げることがあたりまえの時代、というのも今から考えると不思議です。


たとえば、今年入社した新人が60才を迎えるのは38年後です。その時代には、もしかすると70才まで働くかもしれません。


70才まで働くとしたら、48年後、つまり半世紀先に会社が存続していると断言できる人はあまりいないでしょう。


大事なことは、たとえ会社がなくなったとしても現役で活躍できることであり、そのためのスキル獲得なら前向きになれるはずです。


「生涯現役」というキーワードで、あらためてどんなスキルが必要かを考えてみてもよいでしょう。

4.相談がないから大丈夫?

「わからないことは何でも聞いてね」と伝えたところ、何も相談がないから大丈夫と思っていたら、ある日いきなり家庭事情による退職の相談が・・・。


「仕事以外の相談をして印象が悪くならないか怖かったんです」と言われたら、ため息が出るかもしれません。


プライベートを語り合う関係ではないからこそ、ビジネス上の関係性をどのように築き上げるかを考えなければなりません。


昔なら、仕事帰りの飲みニケーションが有効だったかもしれませんが、飲酒率も下がっています。


代わりに、ビジネスの時間のなかで関係性を深める工夫をしてみましょう。上司側から部下に質問をし、答えを引き出し、そのことについて話を広げていくようなことが有効です。


また、上司側からの自己開示によってプライバシーの垣根を下げることも一つの手段です。

5.褒めても刺さらない?

仕事で成果が出た時に「すばらしい! これからもその調子で!」と褒めたところ、冷めた返事が返ってくることがあります。


人事部などが理由を聞いてみると、「普段忙しそうにしていて目も合わせないのに、成果が出た時だけ褒められても、ああ、そういう人なんだなという感じしかしないですね」という答えが返ってきたりします。


仕事で成果が出た時だけ褒めても、彼らには刺さりません。普段からのコミュニケーション頻度が高いからこそ、褒めることが相手に刺さるのです。


そのためには、結果が出る前のプロセス段階が大切で、その大前提である「存在の承認」が有効です。


方法は単純で、上司側がいつも機嫌のいい表情で、上司側から挨拶をして、目を見て話を聞き、頻度高く声掛けをしていくことです。



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