Netpress 第2348号 重要ポイントは? 令和6年度税制改正大綱その概要をチェックする

Point
1.本人、扶養家族1人当たり4万円の定額減税が行われます。
2.参加者1人当たり10,000円までの飲食費が交際費から除かれます。
3.外形標準課税の対象が拡大され、大企業の中小化に網がかけられます。


しんわ税理士法人
代表社員・税理士
須山 雅之

1.所得税等に関する改正について

(1)定額減税

近年の物価高等を考慮して、本人、扶養家族に1人当たり4万円(所得税3万円、住民税1万円)の定額減税が実施されます(合計所得金額1,805万円以下に限ります)。


令和6年6月から、給与所得者、公的年金等受給者、事業所得者等の区分により、給与、年金等の源泉税、予定納税から控除する方法等により順次減税が行われます。


(2)適格ストックオプション税制

権利行使時に給与課税等がされず、株式譲渡時にのみ課税される適格ストックオプション税制について、要件が一部緩和されるとともに、1年間の限度額が以下のとおり改正されます。



非上場
上場
設立5年未満
2,400万円
2,400万円
設立5年以上
20年未満
非上場
3,600万円

上場後5年未満

3,600万円
上場後5年以上

1,200万円
設立20年以上
1,200万円
1,200万円


(3)譲渡所得の特例措置の延長

特定の居住用財産の買換え特例、交換の場合の長期譲渡所得の特例、特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度が令和7年12月31日まで延長されます。


(4)子育て支援税制

住宅ローン減税について、本人か配偶者が40歳未満、または19歳未満の扶養親族を有する者は、令和6年分についても令和5年分と同様の借入限度額が適用できます。また、これらの者が既存住宅に一定の子育て対応改修工事をした場合に、工事費の10%相当額の税額控除を受けることができる制度が新設されます。


児童手当支給延長に伴う扶養控除(16~18歳)の見直し、生命保険料控除拡充は、令和7年以降改正の予定です。

2.法人税に関する改正について

(1)交際費課税

中小法人の定額控除限度額(年800万円)、飲食費50%限度額制度が令和9年3月31日まで延長されます。


また、参加者1人当たり5,000円(税抜)以下の飲食費が令和6年4月1日以降、10,000円(税抜)以下に増額されます。


(2)所得拡大促進税制

令和6年4月1日以降開始する事業年度から以下のとおり改正されます。


①中小法人(資本金1億円以下、大法人の子会社等を除く)

原則として、現行の税制を継続したうえ、一定の認定(プラチナくるみん認定、プラチナえるぼし認定)を受けている場合等には、控除率に5%の上乗せ措置が追加されます。


また、税額控除不足額については、5年間繰越しをすることができるようになります。


②中堅法人(資本金1億円超、従業員2,000人以下の法人等)

現行の税制を延長したうえで、控除率を以下のとおり変更し、一定の認定(プラチナくるみん認定、プラチナえるぼし認定)を受けている場合等には、控除率に5%の上乗せ措置が追加されます。


継続雇用者給与支給額増加率
控除率
3%以上
10%(現行は15%)
4%以上
25%(15%上乗せ)※

※大企業(従業員2,000人超の法人等)は、増加率4%以上で5%上乗せ、増加率5%以上で10%上乗せ、増加率7%以上で15%上乗せとなり、また一定の要件が改正されます。


(3)外形標準課税の範囲拡大

令和7年4月1日以後開始事業年度から、以下の法人が適用範囲に追加されます。 


改正前
改正後
資本金1億円超の法人

資本金1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が10億円超の法人

資本金1億円以下(資本金と資本剰余金の合計額が2億円超)で、資本金と資本剰余金の合計額が50億円超の法人の100%子会社等


(4)その他新設税制

①戦略分野国内生産促進税制

半導体、電気自動車、再生エネルギー等の生産、販売量等に応じて法人税を減税する戦略分野国内生産促進税制が創設されます。


②イノベーションボックス税制

特許権、ソフトウエアの著作権等の知的財産から得る収入を税制優遇して法人税を減額するイノベーションボックス税制が創設されます。

3.相続税に関する改正について

(1)事業承継税制の延長

令和9年分まで適用される中小企業の事業承継税制(贈与、相続等による非上場株式の納税猶予税制)における特例承継計画の提出期限が令和8年3月31日まで延長されます。


(2)住宅取得資金贈与制度の延長

直系尊属(両親、祖父母等)から受ける住宅取得資金贈与の非課税措置が令和8年12月31日まで延長されます。



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