Netpress 第2347号 失敗しないDX推進 持続的に成長するためのITコンサルティングの活用

Point
1.DXの遅れは会社の企業ブランドを棄損し、競争力を弱体化させる可能性があります。
2.限られた会社の経営資源を活用してDXを進め、最大の効果を得るには専門家の活用が有効です。


さくら情報システム
法人事業本部コンサルティング部
シニアマネージャー
糟谷 拓生

1.DX推進の必要性

DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することは、自社の優位性を確立することに役立ちます。


デジタル技術で会社のしくみを変革し、業務の効率化、生産性向上、情報連携、顧客満足度の向上、意思決定支援等の幅広い分野で持続的成長に寄与することが可能です。


現在の経済環境、活動においてITの活用は当たり前のことであり、業務効率を考えるとこのトレンドに乗ることは極めて自然なことです。


また、企業の人材確保においても重要なポイントです。時代に合った働き方を提供することは、デジタル社会に慣れ親しんだ学生や若手が抱く企業イメージとのギャップによる人材の離脱防止に寄与します。


こうしたことから、「DXを推進しないことが企業の持続的成長に対するリスクを拡大している」といっても過言ではありません。

2.基幹業務への適用とセキュリティの確保

DX推進が企業業績に対して最も効果を上げるのは、本業と本業をサポートする周辺業務からなる基幹業務に適用した場合です。


業種により異なりますが、製造業であれば企業収益に直結する「仕入~生産~売上」を基軸として、取引先との連携部分を含めたDXにより、ステイクホルダーと共存共栄の持続的成長が可能になります。


従来のIT活用はコストダウンの効果が主体でしたが、DXにおいては企業の成長、価値向上に効果を上げることが期待されます。


DX推進で注意すべきポイントとして、セキュリティリスクが挙げられます。デジタル化により情報の集積と活用が進んで業務は効率化しますが、情報漏洩、ウィルスの侵入等による被害は大規模になるため、予め対策が必要です。

3.DX推進の費用対効果

DX推進は投資に見合うのか、費用対効果について考えてみましょう。


DX推進を実現するためにはシステムの導入、運用コストが発生しますが、DX推進により得られる利益がこれらの増加するコストを上回ればよいのです。したがって、DX推進における利益計画の精度向上、DX予算の見積もり精度の向上が重要となります。


DX推進の費用対効果を得られる主なパターンを以下に示します。



システムを更改すると現在の業務運用コストが下がる ―― 比較的小さなDX

現行システムの運用コストが割高になっている

手作業で行っている定型業務をロボット(RPA)に置き換える

ノーコード、ローコードツールを用いて自社でDXを推進する

DXを推進しなければ将来の経営に悪影響がある ―― 必然性が高い

現行システムの老朽化により業務運用に支障が発生している(内部要因)

DXしないと取引できない、または不利になる(外部要因)

今後の成長による利益はDX推進のコストを上回る ―― 成長重視

競争力を高めるためDX推進により他社と差別化する

DXを活用した新たなビジネスモデルを開拓する


②のシステム老朽化は時間の経過により発生し、システムの保守期限、バージョンアップを契機に対応するケースが多い状況ですが、今後は③の成長を目的とするDX推進が期待されます。

4.ITコンサルティングの意義

DX推進にあたり、自社だけで対応するのには限界があり、通常はITベンダーに導入を依頼することになります。


多額の費用負担、担当者の負荷増加等が伴うので、限られた経営資源を有効に利用する必要があります。また、自社にITに精通した社員がいるとは限りませんので、どのようにDX推進を行えばよいのかわからないという人材面の課題もあります。こうした課題に直面し、期待効果が実現できない、予算がオーバーした、スケジュールが遅延した等、DXが計画どおりに進まないことが多く見受けられます。


このようなDX推進リスクを回避し、DX本来の目的を達成する確率を高めるため、専門家としてITコンサルティングを活用することが効果的です。


下図はITコンサルティングの狙いを示したものです。コンサルティング費用は必要ですが、企業のニーズに合致した過不足のないDXを実現することで、コンサルティング費用を含めてもトータル費用は当初より安価になることもあります(すべてのケースで実現できるとは限りません)。




DXの投資が大きいほうがコンサルティング費用は相対的に小さくなるため、コンサルティングの効果は得やすいといえます。しかし、昨今は比較的投資が小さな場合でもコンサルティングの手法を企業の体力に合わせて対応するサービスもあり、このようなサービスを利用することも有用です。今やどのような企業であっても、ITコンサルティングを活用することは「失敗しないDXを実現する」ための現実的な選択肢です。



ご案内
IT企画伴走支援サービス 「絆」

https://www.sakura-is.co.jp/solution/ps-000-149.html/


さくら情報システム株式会社 コンサルティング部

お客様に寄り添い、最適なIT戦略のロードマップを作成し、貴社の成長に向けて伴走します。
当サービスは、アセスメントプログラムと伴走支援サービスから構成されます。
アセスメントプログラムでは当社独自のツールを利用することで、課題発見・整理を短期間で実施します。
伴走支援サービスにおいては、全体計画および課題ごとの業務計画、システム企画機能を提供します。



「Netpress」はPDF形式でもダウンロードできます

SMBCコンサルティング経営相談グループでは、税金や法律など経営に関するタイムリーで身近なトピックスを「Netpress」として毎週発信しています。過去の記事も含めて、A4サイズ1枚から2枚程度にまとめたPDF形式でもダウンロード可能です。

PDF一覧ページへ

プロフィール

SMBCコンサルティング株式会社 ソリューション開発部 経営相談グループ

SMBC経営懇話会の会員企業様向けに、「無料経営相談」をご提供しています。

法務・税務・経営などの様々な問題に、弁護士・公認会計士・税理士・社会保険労務士・コンサルタントや当社相談員がアドバイス。来社相談、電話相談のほか、オンラインによる相談にも対応致します。会員企業の社員の方であれば“どなたでも、何回でも”無料でご利用頂けます。

https://www.smbc-consulting.co.jp/company/mcs/basic/sodan/


受付中のセミナー・資料ダウンロード・アンケート