Netpress 第2335号 新年スピーチ事例<2024年新春> ~わが国経済の回顧と新年の展望~

2023年のわが国経済の回顧と2024年の展望を新年のスピーチ事例としてまとめました。社内の年頭挨拶や各種会合のご挨拶などにお役立てください。


株式会社日本総合研究所
調査部 研究員 熊澤 知喜


皆さん、あけましておめでとうございます。新たな年の初めを迎え、皆さまには健やかにお過ごしのことと、お慶び申し上げます。昨年1年、それぞれの持ち場で業務に真摯に取り組んでいただきましたことに対し、心より感謝申し上げます。

◆2023年の回顧 ―― 経済の正常化が進んだ1年

さて、2023年の日本経済を振り返りますと、コロナに対応した行動制限が撤廃され、経済活動の正常化が進んだ1年でした。


海外情勢を振り返りますと、世界に衝撃を与えたロシアとウクライナの衝突は膠着状態に陥っており、昨年10月には中東でも軍事衝突が起こるなど、不穏な状況が続いています。また、アメリカやヨーロッパでは総じて高インフレが続いており、金融政策が引き締められています。この影響で、円安が進んでおり、わが国でも、輸入製品を中心に物価が上昇し、家計を圧迫しています。


一方、経済活動の正常化は着実に進んでいます。昨年5月に新型コロナ感染症の分類が5類感染症に変更され、それまで行われていた入国制限などの規制も撤廃されました。これによって人流が回復し、「リベンジ消費」が経済を活性化させました。繁華街ではかつての賑わいが戻り、観光地は外国人を含む多くの観光客の姿であふれました。


企業活動についても、サプライチェーンが正常化したことで部品や原材料の円滑な調達が可能となり、自動車産業を中心に挽回生産がみられました。省力化やデジタル化に対応したソフトウェア投資が活発に実施されているほか、半導体などの分野ではサプライチェーンの強化に向けた工場建設が相次ぐなど、将来を見据えた設備投資も実行されています。


さらに、昨年の春闘では、賃上げ率がバブル期以来30年ぶりの高さとなったほか、11月には日経平均株価がバブル期以来の最高値をつけました。こうした動きは、わが国の経済が「失われた30年」の停滞から脱却し、再び発展することを予感させるものとして注目されました。


このように、世界経済が厳しい状況に直面するなかでも、わが国の景気は立ち直っています。

◆新年の展望 ―― 底堅い成長に

新年のわが国経済を展望しますと、不透明な海外情勢が続きますが、内需を中心とする景気回復が続くと考えられます。


家計では、雇用・所得環境の改善に支えられて、個人消費が回復する見込みです。春闘では、昨年を上回る賃金の引き上げが予想されます。企業収益が大企業だけでなく中小企業でも改善していることから、これまで以上に賃上げの動きが広がると予想されます。資源高や円安が一服することから、物価の上昇が落ち着き、家計の購買力が向上する見通しです。


企業の設備投資も好調な収益に支えられ、緩やかに増加する見通しです。昨年に続いて、省力化やデジタル化、サプライチェーン再編などを目的とした投資の増加も期待されます。


外需も持ち直しに向かうと予想されます。世界的なインフレは沈静化に向かい、本年中にもアメリカなどでは中央銀行が利下げに転換すると予想されます。また、シリコンサイクルが循環的に底入れすると予想され、電子部品関連の輸出が国内外で復調に向かうと考えられます。こうした環境変化を背景に、世界経済はソフトランディングを果たす見込みです。


気になるのは海外の選挙の行方です。今年は多くの国で重要な選挙が実施されます。


なかでも11月に予定されているアメリカ大統領選挙には注目が集まります。アメリカでは、長引くインフレなどからバイデン現大統領への不満が高まっており、調査によるとトランプ前大統領が支持を集めています。選挙の結果次第で、米国の経済政策が再び大きく転換する可能性があり、世界情勢の先行き不透明感が増す点には注意が必要です。

◆新年の抱負 ―― 新たな世界へのスタートライン

このようにわが国は、バブル崩壊からコロナ禍に至る「失われた30年」を経て、重要な変化の過程にあります。こうした変化を経済成長につなげていくためには、従来の考えに拘泥せず、新しい発想を取り入れていく姿勢が必要になります。


今年は辰年ですが、中国では辰、すなわち竜は幸運・財産・幸福をもたらすものとされています。また、六十干支でみますと、今年は「甲辰(きのえたつ)」にあたります。甲(きのえ)は十干の第一位であり、新たな10年の始まりの年です。


わが国の経済は、まさに今、ポストコロナの新しい世界のスタートラインに立っています。今年こそ、長きにわたった停滞を抜け出し、新たな成長のフェーズへと踏み出すことを願ってやみません。


相場の格言でも「辰巳天井」といって、相場がピークを迎える年ともいわれますが、日本企業の改革努力をみますと、辰巳は当然のこと、その先の2020年代後半も持続的に株価が伸びていくことが期待できます。


「登竜門」のことわざにありますように、鯉が竜になるようこれまで培った力を存分に発揮し、大いに飛躍する年にしましょう。



最後になりましたが、本年が皆さんとご家族にとり、より佳き年となりますことを祈念いたしまして、私の年頭のご挨拶とさせていただきます。



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