Netpress 第2342号 印象が確実にアップ! これだけは押さえたい「配色の3原則」
1.バランスよく配色し、明暗のコントラストに注意を払うことで、資料の印象は確実にアップします。
2.ここでは、配色の3原則をふまえて、より説得力のある効果的な資料をつくる方法を解説します。
東京カラーズ株式会社代表取締役
日本色彩学会正会員
桜井 輝子
1.原則その1・・・色の個性を活かす
色彩は、私たちの感情や印象を大きく左右します。それぞれの色が持つ個性を理解し、資料作成の際に活かすことで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。たとえば、資料の内容と使われている色のイメージが合致しているだけで、伝えたいメッセージが色によって強調され、自然と相手に伝わりやすくなるのです。
以下は、主な色のイメージと使用例をまとめたものです。
イメージ | 使用例 | |
赤 | 活力・注意喚起 | 重要なポイントに赤色を使うことで、資料に強弱をつける(ただし、次頁の[原則その3]で述べる理由から、赤色が必ずしも目立つとは限らない) |
オレンジ | 明るさ・元気 | 社内イベントのポスターで、活気を出すためにオレンジ色を使う |
黄 | ポジティブ・希望 | 成功したプロジェクトの報告書に、黄色を部分使いしてポジティブな印象を与える |
緑 | 安定・安心 | 安全に関する文書で、緑色を使って安心感を与える |
青 | 冷静・信頼 | 会議の資料は、青色を基調にして落ち着いた雰囲気にまとめる |
紫 | 高級感・創造性 | 新しいアイデアを提案するときに、紫色を部分使いして芸術性や創造性をアピールする |
2.原則その2・・・配色は「70:25:5の法則」で、「25」から決める
資料を作成する際の配色は、全体の面積に対して「基調となるベースカラーが70%」「ベースカラーを引き立てるアソートカラーが25%」「メリハリをつけるアクセントカラーが5%」を目安にすると、バランスが取れるという考え方があります。配色のバランスが整っていることで、資料が見やすくなるのです。
ベースカラー:70% | 面積の大部分を占める色。白やごく淡い色がベースカラーとなる場合が多い |
アソートカラー:25% | ベースカラーを補完する色。資料の印象を左右する |
アクセントカラー:5% | 資料にメリハリをつける色。強めの色を少量使うのがコツ |
業務で使う資料やパワーポイントでは、白がベースカラーとなることが多いため、配色を考える際には25%のアソートカラーから決め、アソートカラーに合わせてアクセントカラーを選ぶ「2色配色」の考え方が実用的です。
下の例は、アソートカラーに深いブルーを使うことによって力強さと信頼感を、アクセントカラーにビビッドなオレンジを使うことで、目標達成に向けたエネルギーや推進力を象徴するものとなっています。
【「70:25:5の法則」の配色例】
また、ブルーとオレンジは対照色相(対照性のある配色)の関係のため、お互いを引き立て合う効果があります。対照色相が生み出す強いコントラストによって、アクティブな印象を生み出しています。
白をベースカラーとした場合の2色配色は、資料の内容や表現したいイメージに沿ったものを選びましょう(下参照)。たとえば、「ecology」に関連するものであればグリーンやブルーを使い、「Autumn Fair」であれば、深い色調のブラウン系などを使うのが王道です。
【さまざまな2色配色】
3.原則その3・・・明暗のコントラストに注意
配色を考える際、ユニバーサルデザインの視点から、明暗のコントラストに注意を払うと読みやすい資料になります。
色の見え方には個人差があるため、みんなが同じように色を見ているわけではありません。たとえば、赤と緑の色相の区別がつきづらい人や、背景と図の明るさが近似していることで読みづらいと感じる人は、決して少なくありません。多くの人が目にする資料を作成するときには、明暗のコントラストをはっきりさせることが重要です。
下は、ロゴの文字の見え方の例です。黒いロゴに対して、背景や文字色を明るい色にすると、ロゴの存在だけでなく文字も読みやすくなります。これに対し、背景や文字色が暗いと、ロゴとの明度差が確保できないため、視認性(目で見たときの認識しやすさの度合い)が著しく低下してしまいます。
ときには、「背景にはどうしても紺色を使いたい」というケースもあるでしょう。そのような場合は、文字部分のみを明るい色にすることで、視認性が回復します。
日々の業務で判断に迷ったときは、作成した資料を白黒コピーしてみましょう。これにより、明暗のコントラストが十分に確保できているかどうかを簡単に確認することができます。
色彩は資料をわかりやすく、魅力的にする強力なツールです。色の個性を理解して「70:25:5の法則」でバランスよく配色し、明暗のコントラストに注意を払うことで、資料の印象は確実にアップし、見栄えのよいものになるでしょう。
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