Netpress 第2338号 労働安全衛生規則の改正 トラックでの荷役作業時の安全対策を強化!

Point
1.労働安全衛生規則の改正により、トラックでの荷役作業時の安全対策が強化されます。
2.ここでは、今回の改正の内容と施行時期、車両管理者として対応すべきことを確認します。


住友三井オートサービス株式会社
セールスDX推進部 川﨑 毅


1.労働安全衛生規則の改正

2023年3月に、労働安全衛生規則および労働安全衛生規則に基づき定められた安全衛生特別教育規程が改正される厚生労働省令が公布されました。


労働安全衛生規則(以下、「安衛則」)とは、労働者の安全と健康を確保し、快適な職場を作り出すために厚生労働省が発行した省令です。1972年に制定された法律である労働安全衛生法に則って、具体的な項目を定めているのが安衛則です。何らかの事業を行って労働者を使用している事業主(企業やそのほかの法人、個人でも他者を雇っている事業主)は、労働安全衛生法の対象となります。


また、労働安全衛生法では使用している車両の事業用・自家用の区別はしていませんので、今回の改正安衛則でも、いわゆる白ナンバー事業者も対象となります。

2.改正内容

(1)昇降設備の設置と保護帽の着用が必要な貨物自動車の範囲拡大

①昇降設備の設置(安衛則第151条の67関係)


荷を積み卸す作業を行う際、昇降設備の設置義務の対象となる貨物自動車について、従来は最大積載量5トン以上のものだったところ、2トン以上5トン未満のものが追加されました。


「昇降設備」には、踏み台などの可搬式のもののほか、貨物自動車に設置されている昇降用のステップなども含まれます。なお、昇降ステップは、できるだけ乗降グリップなどによる三点支持等により、安全に昇降できる形式のものが望ましいとされています。


②保護帽の着用(安衛則第151条の74関係)


荷を積み卸す作業を行う際、労働者に保護帽を着用させる義務の対象となる貨物自動車について、従来は最大積載量5トン以上のものだったところ、以下のものが追加されました。


・最大積載量2トン以上5トン未満で、荷台側面が構造上開放されているものまたは構造上開閉できるもの(平ボディ、ウイング車など)


・最大積載量2トン以上5トン未満で、テールゲートリフターが設置されているもの(テールゲートリフターを使用せずに積み卸し作業を行う場合は適用外)


保護帽は、型式検定(国家検定)に合格した「墜落時保護用」の製品を使用しなければなりません。


(2) 運転位置から離れる場合の措置

運転席とテールゲートリフターの操作位置が異なる貨物自動車では、運転者が運転位置を離れる場合に義務付けられていた「①エンジン停止」と「②荷役装置を最低降下位置に置くこと」が適用除外となりました。


ただし、ブレーキを確実にかけるなどの逸走防止措置は引き続き義務付けられていることに留意してください。逸走防止の観点から、エンジンの停止も可能な範囲で行うことが望ましいとされています。


(3) テールゲートリフターを使用して荷を積み卸す作業への特別教育の義務化

荷を積み卸す作業におけるテールゲートリフターの操作(稼働スイッチ、キャスターストッパー等、昇降板の展開/格納の操作など)を行う労働者に対して、特別教育を実施することが義務化されます。


特別教育とは、労働安全衛生法第59条第3項に基づき、「厚生労働省令で定める危険または有害な業務」に労働者をつかせるときに行わなければならない教育です。


特別教育は、厚生労働省告示で規定する科目と時間数の内容で、社内で行うことが原則とされています。特別教育の講師の資格要件はありませんが、十分な知識、経験を有するものでなければならないので、多くの企業では社内で行うことが難しいと思われます。


社内で行う代わりに、外部研修機関等が行う特別教育を受講させてもよいとされています。たとえば、厚生労働省所管の特別民間法人である陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)や、その他民間企業が運営している教習施設などでも受講が可能です。


なお、特別教育を行ったときは、事業者において受講者・科目等の記録を作成し、3年間保存する必要があります。

3.施行時期

【2023年10月1日施行】


・昇降設備の設置と保護帽の着用が必要な貨物自動車の範囲拡大


・運転位置から離れる場合の措置


【2024年2月1日施行】


・テールゲートリフターを使用して荷を積み卸す作業への特別教育の義務化

4.車両管理者として対応すべきこと

車両管理者としては、使用している車両の最大積載量を確認し、2トン以上の車両を使用しているならば、昇降設備、保護帽を用意するようにしましょう。また、特別教育は2024年1月末までに受講を完了させましょう。


さらに詳しい内容を確認するにはこちらのページをご覧ください。

https://mobilitas.jp/useful/safetymeasuresfortrucks/?lfcpid=24261



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