多田智子の働き方改革関連コラム 「令和5年版 労働経済の分析」(労働経済白書)が公表されました

多田国際社会保険労務士法人は、忙しいビジネスパーソンが知りたい【労務管理に関する旬な情報】を厳選してお送りします。
今回は、「令和5年版 労働経済の分析」(労働経済白書)についてお知らせします。


この度、令和5年版の労働経済白書が公表されました。「持続的な賃上げに向けて」をテーマとして分析が行われています。第Ⅰ部では、直近の労働経済の推移と特徴をまとめています。第Ⅱ部では、わが国の賃金が四半世紀にわたり伸び悩んだ理由を明らかにし、賃上げが及ぼす好影響のほか、政策による賃金への影響についても分析しています。

以下、一部抜粋してご紹介致します。


第Ⅰ部:2022年の労働経済の推移と特徴

  • 雇用の過不足の状況をみると、全ての産業において「不足」超となっており(後図①)、前職を離職した理由別に転職者数の前年差をみると、「より良い条件の仕事を探すため」が3年ぶりに増加に転じている。コロナ禍を過ぎ雇用情勢の改善が伺える。
  • 名目賃金(現金給与総額)は、前年比で全ての月において増加した。民間賃上げ率は、2.20%(後図②)となり、4年ぶりに前年の水準を上回った。
  • 一方、円安の進行や輸入原材料の価格の高騰に伴う物価上昇により、実質賃金は減少した。 


図①


図②



第Ⅱ部:我が国において四半世紀にわたり賃金が伸び悩んだ理由

  1. 企業の利益処分の変化
    企業の内部留保が増加している。将来見通しの低さが企業をリスク回避的にさせ、企業が賃上げに踏み切れなかった可能性。(労働分配率の低下)
    →実質労働生産性は上昇し、実質賃金は伸び悩んでいる。(後図③)
  2. 労使間の交渉力の変化
    労働組合組織率の低下等、労使間の交渉力の変化が賃金を下押しした可能性。
  3. 雇用者の構成変化
    雇用者の構成割合を1996年のものとした試算値と実数値を比較すると、雇用者の構成変化が賃金に影響している可能性が伺える。(パートタイム労働者比率の上昇など)
  4. 日本型雇用慣行の変容
    同一企業に勤め続ける「生え抜き正社員」の割合低下も賃金を下押しした可能性がある。
  5. 労働者のニーズの多様化
    女性や高年齢層といった、希望賃金が低い傾向にある就業者の割合が増加している。


図③


※図の出典はいずれも 厚生労働省「令和5年版 労働経済の分析」より


本文および概要は、厚労省のホームページでご確認頂けます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35259.html


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プロフィール

多田国際コンサルティンググループ 代表社会保険労務士 多田智子

私たち多田国際コンサルティンググループは、多田国際コンサルティング株式会社と多田国際社会保険労務士法人で構成しております。

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