Netpress 第2270号 改正道路交通法が施行! 安全運転管理者の義務と責任について
1.企業が事故の防止・削減に取り組む際、その中心となるのが「安全運転管理者」です。
2.ここでは、安全運転管理者に関する法律の規定や業務内容等について紹介します。
住友三井オートサービス株式会社
セールスDX推進部 川﨑 毅
安全運転管理者とは、道路交通法に基づき、一定以上の台数の自家用自動車を保有する事業所において、運転者の適性等の把握や運行計画の作成、安全運転指導を行う者をいいます。
なお、事業用自動車を使用する事業所では「運行管理者」が選任されます。運行管理者がいれば、必ずしも安全運転管理者を選任する必要はありませんが、交通安全の取り組みのために安全運転管理者を選任することは可能です。
1.安全運転管理者の選任義務
一定以上の台数の自動車を保有する事業所は、安全運転管理者や副安全運転管理者(以下、「安全運転管理者等」といいます)を選任し、自動車の使用の本拠地を管轄する警察署を経由して公安委員会に届け出る必要があります。リースやマイカーにかかわらず、一定台数を業務利用する場合は選任が必要です。
(1)安全運転管理者の選任
1拠点当たり、乗車定員10名以下の自動車5台以上または乗車定員11名以上の自動車1台以上を保有する場合は、安全運転管理者1名の選任が必要です。
なお、自動二輪車は、1台を0.5台としてカウントします(原動機付自転車は含まれません)。
(2)安全運転管理者の資格要件
20歳以上(副安全運転管理者が置かれる場合は30歳以上)で、以下のいずれかに該当する者です。
・安全管理実務経験が2年以上
・公安委員会の認定を受けていること
(3)副安全運転管理者の選任
副安全運転管理者の人数は、自動車の台数によって異なります。自動車20台以上を保有する場合、副安全運転管理者1名の選任が必要で、以降、20台ごとに1人の追加選任が必要となります。
自動二輪車の取り扱いは、安全運転管理者の場合と同様です。
(4)副安全運転管理者の資格要件
20歳以上で、以下のいずれかに該当する者です。
・運転管理実務経験が1年以上
・公安委員会の認定を受けていること
・運転経験が3年以上
前頁の資格要件を満たしていても、過去2年以内に公安委員会の安全運転管理者等の解任命令を受けた者(プライベートでの違反も対象)や、ひき逃げ・無免許運転・酒酔い運転など一定の違反をした日から2年を経過していない者は、安全運転管理者等になることはできません。
2.届出・講習・罰則について
安全運転管理者等の選任や変更があった際は、速やかに届け出る必要があります。安全運転管理者等の選任・変更日から15日以内に、自動車の使用の本拠地を管轄する警察署を経由して公安委員会に届け出ます。
また、安全運転管理者は、安全運転管理者等法定講習の受講(毎年1回)が義務付けられています。この講習の開催頻度、日程、受講手数料は都道府県によって異なり、使用の本拠地を管轄する警察署の情報を確認する必要があります。新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、「オンライン講習」の受講も可能です。
罰則については、安全運転管理者や副安全運転管理者を選任しなかった場合、「50万円以下の罰金」(法人等両罰)が科せられます。安全運転管理者等を選任しても届け出なかった場合には、「5万円以下の罰金」です。
3.安全運転管理者等の業務内容
道路交通法施行規則により、安全運転管理者等は、以下の安全運転管理業務を行わなければなりません。
(1)運転者の適性や処分等の把握
運転者の適性、技能、知識、法令・処分の遵守状況を把握するための措置を講じます。
(2)運行計画の作成
運転者の過労運転の防止、その他安全運転を確保するために、自動車の運行計画を作成します。
(3)交代運転者の措置
長距離運転または夜間運転となる場合、疲労等により安全な運転ができないおそれがあるときは、交替するための運転者を配置します。
(4)異常気象時の措置
異常な気象・天災その他の理由により、安全な運転の確保に支障が生じるおそれがあるときは、安全確保に必要な指示や措置を講じます。
(5)点呼と日常点検
運転しようとする従業員(運転者)に対して点呼等を行い、日常点検・整備の実施と飲酒、疲労、病気等により正常な運転ができない恐れの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えます。
(6)運転日誌の備付けと記録
運転者名、運転の開始・終了の日時、運転した距離その他自動車の運転の状況を把握するために必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させます。
(7)安全運転指導
運転者に対し、「交通安全教育指針」に基づく教育のほか、自動車の運転に関する技能・知識その他安全な運転を確保するために必要な事項について指導を行います。
(8)アルコールチェック(2022年4月より追加)
アルコール検知器と目視等により、運転前後の酒気帯びを確認するほか、アルコールチェックの記録と1年間の保存・管理を行い、アルコール検知器の常時有効性を確認・保持します。
2022年4月より、安全運転管理者を有する白ナンバーの事業者もアルコールチェックが義務化され、酒気帯びの有無の確認と記録の保存が必要となりました。
対面チェックのやり方、レンタカーの場合など、Q&A方式で詳しくご説明している以下の資料もご覧ください。
( https://mobilitas.jp/mobility/alcoholcheck_faq_dl/?lfcpid=24261)
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