Netpress 第2180号 経営体質を革新する! 5Sから始める見えるマネジメント活動
1.経営体質を革新し、持続的に成長していくためには、マネジメントのやり方(=組織を動かし、成果を出すこと)を根本的に見直し、変えていく必要があります。この目的を実現するのが、VM(Visual Management:見えるマネジメント)手法です。
2.VM手法は、単に見える化するのではなく、①職場環境、②個人の意識・考え方、③個人の行動、④組織の風土、⑤マネジメントのやり方を変えることによって、経営の体質を変えていくものです。
3.VM手法の基盤となるのが5S活動であり、マネジメント力を高めるトレーニングとなります。
一般社団法人 中部産業連盟
執行理事 佐藤 直樹
1.経営体質の革新のための5つのステップ
企業組織の目的をひとことで言うと、経営体質の革新を実現しつつ、持続的に成長していくことです。その手段として、マネジメントのやり方を根本的に見直し、改善していくのがVM手法です。
しかしながら、マネジメントのやり方を変えるといっても、一筋縄ではいきません。以下の5つのステップで、順を追って変えていく必要があります。
(1)職場環境を変える
ムダがない・発生しない、またムダが見えることで改善が促進される職場環境を目指す必要があります。そのために、5S活動によって不要な物を処分し、要る物を最適な置場、置き方にして表示する整頓を行い、ムダが見え、ムダを排除できる環境を整備していきます。
(2)個人の意識・考え方を変える
さまざまな業務において、ルールを当たり前のように守ることができなければ、管理や改善業務を行うどころではありません。5S活動により、職場に置いてある物に関するルール・表示を徹底して、当たり前のように守れる訓練をしていくことが必要です。
その訓練によって、暗病反(マイナス思考) → 明元素(プラス思考)的な考えにシフトします。
(3)個人の行動を変える
「上記のルールを遵守する」「約束したことを守る」「自主的に動くようにする」ことで、行動を変えていきます。
また、5Sで改善に次ぐ改善を行うトレーニングを積むことで、何事も最後までやり抜く人材を育成していきます。
(4)組織の風土を変える
5S活動は、決して個人で行うものではなく、組織として進める活動です。リーダーのリーダーシップのもと、コミュニケーションにより情報共有をしながら、チームワークを養っていきます。
さらに、改善に次ぐ改善により、絶え間なく管理・改善を継続する組織の風土を醸成していきます。
(5)マネジメントのやり方を変える
マネジメントを構成する要素は、「①方針・目標」「②マネジメントシステム」「③プロセス管理(PDCA)」「④成果」です。
これらを見えるようにして、タイムリーな対策を講じることが、VMの概念です(下の概念図参照)。
特に、異常・ムダ・問題点を見えるようにすることが重要になります。
そのためには、方針・目標管理や日常業務管理の状態を単に「見える」ようにするだけでなく、次に示したやり方に変えていく必要があります。
マネジメント | 内 容 |
プロセス・マネジメント | 目標を達成するためのPDCAを見えるようにし、PとDとのギャップである真因を追求(C)して、迅速かつ確実な処理・対策(A)につなげる。 |
リアルタイム・マネジメント | 管理状態の正常・異常をリアルタイムでわかるようにして、早め早めの対応ができるマネジメントのやり方。 |
リアル・マネジメント | 現地で、現物と現実を見えるようにしてマネジメントを行うやり方。 |
プリベント・マネジメント | 事後ではなく、予防的に先の見通しをつけるとともに、不具合な事象を未然に防ぐマネジメントを行うやり方。 |
トータル・マネジメント | プロセス間の相関関係や因果関係、時系列的な変化を見ながら、全体最適の視点で行うマネジメントのやり方。 |
2.マネジメント力向上の強力な武器となる5S活動
上記のとおり、経営体質を革新するためには、下図の5つのステップでマネジメントのやり方を変えていく必要があります。
このうち、最初の4つのステップは、5S活動を徹底するだけでも、より強固なものになるといえます。
5S活動は、全員参加のチーム活動であり、いかに組織・メンバーを動かすかが成功のカギを握ります。
これは、マネジメントそのものであり、そのために5S活動では、以下の取り組みを推進しています。
(1)トップマネジメントを含む全員による推進組織化 | (2)一人ひとりの役割が見える5S活動計画と進度管理 |
(3)トップが参加する5S点検、承認、振り返り | (4)活動成果の共有と成長実感、さらなる改善 |
かつて、クライアントであった電力会社のトップが、「この5S活動は、マネジメントのトレーニングになる」とおっしゃっていました。(1)~(4)は、まさにマネジメントそのものです。
VM手法は、単に見える化するのではなく、上記の5つのステップで「変える」ことによって、まさに一人ひとりの従業員を成長させ、経営体質を革新していく手法といえます。
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