Netpress 第2120号 テニスに学ぶ 周囲を味方につけるコミュニケーション術
1.オンライン化が急激に進むなかで、改めてコミュニケーションの重要性が浮き彫りになりました。
2.私がテニスプレイヤーとして学んだコミュニケーション術で、ビジネスに応用できるものをご案内します。
株式会社KION
代表取締役 加藤 季温
オンライン化が急激に進み、人と人とが直接会う機会が激減しました。新入社員研修もオンラインになり、チームビルディングの問題が多く聞こえてくるようになりました。
コミュニケーションは、やはり実際に目の前に話す相手がいてこそでしょう。相手の表情を見ながら言葉のキャッチボールをすることに勝るものはありません。
しかし、今日オンラインが定着したなかで、どのようにすれば相手に心を開いてもらえるのでしょうか。また、自分を受け入れてもらうことができるのでしょうか。
そして、どのようにすれば相手とのコミュニケーションをスムーズにして、良好な関係を築いていけるのでしょうか。
1.テニス・ダブルスから学ぶコミュニケーション
テニスは、シングルスが得意な選手と、ダブルスが得意な選手に分かれます。
ダブルスというのは、卓球でもバドミントンでも、2人で1ポイントを取りにいく競技です。そのため、戦術を立てることや、相手との駆け引きもパートナーと2人で行います。試合中に、コミュニケーションの欠如から戦術がバラバラになってしまっては、取り返しのつかないことになり、「負け」につながります。
ダブルスという競技は、個人の能力よりもパートナーと息を合わせる能力のほうが大切になってくる競技なのです。つまり、2人のコンビネーションをよくすることが、ダブルスでは最も重要なポイントとなります。
組んでいて心地がよいといわれるダブルスのパートナーは、次の2つのポイントを押さえています。
決して媚びを売るわけではなく、パートナーの気持ちを楽にする声掛けや、パートナーがプレーに積極的になるような声掛けを心がけると、自分もプレーがやりやすくなります。
「パートナーのミスも自分のミスとして捉える」、そして「パートナーが助けてくれたポイントに感謝を伝える」――この2つのポイントは、テニスのダブルスに限らず、広く応用することができます。
誰かと一緒に仕事をする際に、相手とのコミュニケーションを円滑にする手法として、ぜひ心がけるようにしていただきたいと思います。
2.言葉だけに頼らない!
コミュニケーションには、「言語的コミュニケーション」と「非言語的コミュニケーション」があります。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが、1971年に「3Vの法則」を発表しました。
この法則によると、人がコミュニケーションを取るときに受け取る情報のうち、相手から発せられる言語の内容である「言語情報」から7%、声のトーンや口調、大きさ、話す速さなどの「聴覚情報」から38%、そして相手のジェスチャーや視線、表情といった「視覚情報」から55%の情報を受けています。
つまり、言語的コミュニケーションによるメッセージよりも、非言語的コミュニケーションによるメッセージのほうが、影響力が強いということがわかります。
このことから、自分の気持ちや意思をより正確に、より正しく伝えるためには、言葉だけではなく、声の大きさや口調、身振り手振りや表情なども駆使することが、とても大切だということになります。
3.相手の心を開くために、自分から相手に飛び込む!
私がテニスプレイヤーとして海外遠征に行っていたときは、私のほうから地元の方々に現地の言語で挨拶し、交流を図っていました。それによって、私がその国を受け入れているということを伝えていたのです。
現地の方々は、「外国人が私たちの国の言葉を話そうとしている」と感じて、しばしば「頑張ってね!」という言葉を掛けてくださいました。
その国の言葉を完璧に話せなくても、挨拶をするだけで、魔法がかけられたように相手の心が開きます。「私たちを仲間だと思っている」ということが伝わるからです。
私は現在、未就学児から小学6年生までの子供たちにテニスを指導しています。各年代が見ているアニメや漫画、興味があるものを常に調べておき、休憩の時などにその話題を振ります。
そうすると、目をキラキラさせて私と話してくれ、彼らとの距離がぐっと近づいたと感じます。まずは自分から相手に飛び込めば、素晴らしいコミュニケーションが始まるのです。
「相手の心を開くためには、まず自分の心を開きなさい」とよくいわれますが、本当に相手とコミュニケーションを取るためには、「自分から相手の心に飛び込んでいきなさい」と私は申し上げます。
コミュニケーションの勝負は、お互いがわかり合えるか否かで決まります。周囲の人の心を開き、味方にすることが「勝ち」につながります。
私がテニスプレイヤーとして学び、そして文字どおり体得したコミュニケーション術を、ぜひ毎日のビジネスシーンで活用してみてください。
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