Netpress 第2109号 とっておきの4つのテクニック! リモートワークにおけるモチベーション管理
1.リモートワークでは、人のモチベーションはどうしても下がりがちになりますが、上司からのコミュニケーション方法次第で改善することができます。
2.改善のためのポイントは、「存在を認める」「視線としぐさ」「質問と肯定」「次回までの宿題」の4つです。
セレクションアンドバリエーション株式会社
代表取締役 平康 慶浩
1.リモートワークでなぜモチベーションが下がるのか
当たり前になりつつあるリモートワークですが、その広がりとともに、モチベーションの低下やメンタル面の不調を訴える声も聞こえてきます。各種アンケートや、産業医等のインタビュー結果などを確認すると、その理由は3つにまとめることができます。
第一に、気軽に相談がしづらいこと。対面であれば気軽に相談できていたことも、リモートになると相談のハードルが上がり、わからないことを一人で抱えこみがちになってしまいます。
第二に、長時間労働が増えること。終業時刻を過ぎても(仕事を終えても)、たとえば会社支給の携帯がメールの着信を知らせてくれば、ついその内容を確認してしまいます。やがて仕事とプライベートの区切りがつかなくなり、リラックスできる時間がどんどん減ってしまうのです。
第三に、互いの様子が見えないこと。同じ場所で仕事をしていると、上司は部下の様子を見ながら適宜、声をかけてコミュニケーションをとることができます。部下にしても、上司の様子が見えるので、忙しさなどの雰囲気もわかります。けれども、リモートになると相手の様子が見えないため、不安感が互いに高まってしまうのです。
2.モチベーションを改善する4つのコミュニケーションテクニック
では、リモートワークにおいて、上司として部下にどのように接すればよいのでしょうか。
リモートワーク環境でも一人ひとりの成果を伸ばしながら活躍している組織では、次の4つのポイントに沿ったコミュニケーションが行われています。
1.「指導」から「認める」に変える |
2.視線としぐさにこだわる |
3.質問から始めて肯定で終える |
4.「次回までの宿題」を使いこなす |
これらは対面型の状況でも有効な方法ですが、リモートワークにおいて特に効果を発揮します。次頁で、順に詳しく紹介していきましょう。
1.「指導」から「認める」に変える
仕事に悩んでいる部下がいるとき、上司としてすべきことは「指導」であると考えがちです。業務を行うための前提としての知識が必要だったり、進め方についての効果的な方法がすでに確立されていたりする際には、指導はとても有効です。進捗状況などを把握しやすい対面の状況などで、特に有効に機能します。
しかし、リモートワークの状況では、細かい指導が難しい場合があります。どうしても個別の対応について、独自に判断してもらうケースが増えてきます。
そこで、リモートワークでは、業務指示における途中進捗の確認時に「認める」ことを増やしてみてください。
たとえば、指示した業務がある程度進んだ際に、次にやるべきことを指示するとしましょう。そこで修正が必要な場合であれば、まずその修正を指示します。
そのうえで、そこまでの進捗について、否定的な評価をしないように気を付けるのです。
「否定しない」――ただそれだけのことで、部下の心に3つの変化が起きます。まず、見てもらっているという安心感が生じます。次に、上司と仕事をするなかでもっと存在感を示したい、活躍したいという意識が高まります。そして、上司に対する信頼感が醸成されるようになるのです。
2.視線としぐさにこだわる
リモートワークでのコミュニケーションでは、どうしても聞き手の反応がわかりにくくなります。WEB会議ならまだ表情が見えますが、電話だと表情すら見えません。そのような状況では、感情も読み取りづらくなってしまいます。
そもそも人は、相手が話す言葉よりも、しぐさや表情から読み取れる感情を重視してコミュニケーションをする生き物です。特に日本人は、その傾向が強いといわれています。
そこで、リモートワークでのコミュニケーションでは、普段以上に相手の顔を見るようにしましょう。このとき、「鼻の頭を見る」とか、「眉間を見る」とか、いろいろといわれますが、どのような方法でもかまいません。相手の顔に視線を向けるようにしていれば、それで大丈夫です。
また、喜びや驚きの感情を強く表現しましょう。簡単な方法でいえば、「手のひらをしっかり使う」ことです。最初に映ったときと、会議を終えるときに、挨拶とともに手のひらを見せるだけで、ずいぶんと印象が違います。
慣れてくると、眉毛の動きをしっかり意識することで、表情を強調することもできるようになります。
3.質問から始めて肯定で終える
具体的な話があるときでも、時間に余裕があるのなら、雑談から始めましょう。いきなり本題から入るのではなく、意識的に雑談タイムを設けることで、円滑にコミュニケーションがとれるようになります。この際、答えやすい質問から始めることが、部下の緊張をほぐすのに有効です。
そのうえで、コミュニケーションの最後は、肯定で締めるのが効果的です。感謝を伝えるなど、ポジティブな言葉で部下の承認欲求を満たして面談を終えることで、上司への信頼感やモチベーションの向上につながります。
4.「次回までの宿題」を使いこなす
さらに、今後の成長について考えるきっかけを与えるために、ぜひ次回ミーティングまでの宿題を投げかけるようにしましょう。
たとえば、次回までに「3年後のありたい姿」を考えるなど、今後のキャリアを思い描く機会を与える内容が有効です。
ちょっとした心がけで、リモートワークは上司への信頼度を向上させるきっかけとして生かせるようになります。ぜひ、この4つのテクニックを使いこなしてみてください。
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