Netpress 第2108号 2021年最新版 経理・税務・会計分野の法定保存文書一覧

企業が取り扱う文書のなかには、法令により定められた年限(期間)の保存が義務づけられている「法定保存文書」があります。


日本実業出版社 月刊『企業実務』編集部


経理・税務・会計分野の主な法定保存文書と保存年限を一覧にまとめましたので、ご活用ください。


分野
文書名
起算日
根拠条文
保存年限












計算書類および附属明細書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュフロー計算書、個別注記表)※1
作成した時
会社法435
10年※1
会計帳簿および事業に関する重要書類(総勘定元帳、仕訳帳、各種補助簿、株式台帳、印鑑簿など)※1
帳簿閉鎖の時
会社法432
監査報告(監査役設置会社等の場合)※2
株主総会の1週間(取締役会設置会社は2週間)前の日
会社法442
5年
会計監査報告(会計監査人設置会社の場合)※2
会計参与が備え置くべき計算書類、附属明細書、会計参与報告(会計参与設置会社の場合)※3
会社法378








取引に関する帳簿(総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳など)※1、※4
帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日(当該事業年度分の税務申告書提出期限の翌日)
法人税法施行規則59、67、26の3※4
7年※1(または10年※4)
決算に関して作成された書類(棚卸表、貸借対照表、損益計算書その他会社法で10年保存が義務づけられている書類以外の書類を含む)※1、※4
現金の収受、払出し、預貯金の預入れ・引出しに際して作成された取引証憑書類(領収書、預金通帳、借用証、小切手・手形控、振込通知書など)※4
有価証券の取引に際して作成された証憑書類(有価証券受渡計算書、売買報告書、社債申込書など)※4
取引証憑書類(請求書、注文請書、契約書、見積書、仕入伝票など)※4
電子取引の取引情報に係る電磁的記録(取引に関して受領または交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項の記録) 
電子帳簿保存法施行規則8








課税仕入等の税額の控除に係る帳簿、請求書等(5年経過後は、帳簿または請求書等のいずれかを保存する)※5
課税期間末日の翌日から2か月を経過した日
消費税法30、消費税法施行令50、消費税法施行規則15の3
7年
資産の譲渡等、課税仕入、課税貨物の保税地域からの引取りに関する帳簿
消費税法58、消費税法施行令71








・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の基礎控除申告書※6
・給与所得者の配偶者控除等申告書※6
・所得金額調整控除申告書※6
・給与所得者の保険料控除申告書
・退職所得の受給に関する申告書
その申告書の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日
所得税法施行規則76の3、77、租税特別措置法施行規則18の23の3
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
租税特別措置法施行規則18の23
源泉徴収簿(賃金台帳)※7
法定納期限
国税通則法70~73

※1 貸借対照表や損益計算書、総勘定元帳など、会社法と法人税法の両方で保存年限が規定されている文書は、両方の規定を遵守する必要があるため、保存年限の長いほうに合わせて保存する。

※2 保存年限は本店備え置き分。支店備え置き分については、その謄本を3年間保存する。

※3 会計参与が定めた場所に備え置く。

※4 平成30年4月1日以後に開始した事業年度の欠損金の繰越控除の期間が10年間あるため、欠損金の繰越控除の適用を受けるには、最長で10年間の保存が必要である。(平成30年3月31日以前に開始した事業年度の欠損金の繰越控除の期間は9年間である。)

※5 課税仕入等の事実を記載した帳簿、請求書等は、原則としてその両方を7年間保存する必要があるが、6年目と7年目については、いずれか一方を保存すればよいこととされている。なお、令和元年10月1日から令和5年9月30日までの仕入税額控除は、一定の事項を記載した帳簿と区分記載請求書等の保存(区分記載請求書等保存方式)が要件となる。また、令和5年10月1日以降の仕入税額控除は、一定の事項を記載した帳簿と適格請求書等の保存(適格請求書等保存方式)が要件となる。

※6 給与所得者の基礎控除申告書、給与所得者の配偶者控除等申告書および所得金額調整控除申告書は兼用様式(「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」)である。

※7 法定保存期間の明確な規定はないが、更正決定期間等との関係で最長7年とされる。


■参考:以下の文書は、法令による保存年限の定めはないが、文書の性格上、保存が必要と考えられている。


文書名
根拠法令等
保存期間の目安
備考
納税申告書
国税通則法17
10年(または永久)
税務調査に備えるために決算書と共に保存することが望ましい
税務届出書(設立、青色申告承認、申告期限の延長など)
法人税法148、122、75の2など
非課税貯蓄に関する帳簿書類の写し
所得税法施行令48、所得税法施行規則13
5年
金融機関の営業所等に原本の保存義務がある



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