Netpress 第2491号 新年スピーチ事例<2026年新春> 〜 わが国経済の回顧と新年の展望 〜

2025年のわが国経済の回顧と2026年の展望を新年のスピーチ事例としてまとめました。社内の年頭挨拶や各種会合のご挨拶などにお役立てください。


株式会社 日本総合研究所
調査部 マクロ経済研究センター
中井 勇良



 皆さん、あけましておめでとうございます。新しい年の初めを迎え、皆さまには健やかにお過ごしのことと、お慶び申し上げます。昨年一年、それぞれの持ち場で業務に真摯に向き合い、会社を支えてくださったことに対し、心より感謝を申し上げます。

◆2025年の回顧 ―― 不確実性のなかで光った「粘り腰」

 2025年を振り返りますと、決して平坦な道ではありませんでしたが、そのなかでも前向きな動きが少しずつみえ始めてきた一年でした。


 世界経済はさまざまな不安要因が影を落とし、先行きが見通しづらい時代に入ったことを改めて痛感させられました。アメリカではトランプ氏が大統領に帰り咲き、自由主義を土台に戦後長く培われてきた国際秩序が大きく揺さぶられました。


 とくに、わが国を含む多くの国に対して関税が大幅に引き上げられたことで、国際経済が混乱しました。ウクライナや中東でも緊張が続き、海外の景気や金融市場に動揺が広がる場面が多くみられました。


 日本でも、外需に強い逆風が吹き、輸出が大きく減るなど厳しい環境に直面しました。一方で、AI技術が急速に進歩したことで、半導体などの需要が企業を支えたほか、こうした技術を積極的に取り入れることで経営改善を図る企業も増えるなど、将来につながる力強い動きもみられました。


 また、日々の暮らしでは、コメをはじめ物価が上がっていることが苦労の種ですが、基本給やボーナスが引き上げられていることで、経済全体の家計所得は少しずつ増えており、消費も緩やかに回復しています。


 こうした動きを踏まえると、日本経済は「不確実性に悩まされつつも、取るべきところでしっかり得点できた」一年であったと言えるでしょう。


 さらに、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした大阪・関西万博が盛り上がったほか、史上初の女性総理大臣が誕生するなど、社会の空気を大きく変える出来事もありました。変化の激しい時代のなかにありながらも、わが国が未来に向けて新たな一歩を踏み出した年でもあったと感じています。

◆新年の展望 ―― 緩やかな回復が続く一年に

 新年の日本経済は緩やかに回復すると予想されています。


 海外では、アメリカやヨーロッパの景気が経済対策の効果もあって持ち直すことが期待されています。これに伴い、輸出も底打ちする見通しです。


 国内では、昨年の賃上げの流れが今年も続くことに加えまして、物価の上昇スピードも次第に落ち着いてくる兆しがみられており、個人消費も回復すると見込まれます。


 企業でも将来を見据えた生産や投資が着実に進むことが予想されます。


 とくに、多くの産業で人手不足が深刻化していますので、AIなどを活用した業務の効率化や省力化への取り組みが一段と活発になり、日本経済を押し上げる重要な要因になるでしょう。


 もっとも、世界は不確実な時代に入っていますので、海外の動向次第では、日本の景気にも大きな影響が及ぶことには注意しなければなりません。


 アメリカとの関税交渉はいったん決着しましたが、今後の貿易や投資の動きによっては、再び難しい交渉を迫られる可能性があります。


 また、近隣諸国との関係が経済に影響を及ぼす懸念もぬぐい切れません。


 われわれは、こうした環境変化を敏感に察知し、どのような事態が生じても動じることのないよう普段から入念に準備しておく必要があります。


 さらに、こうしたピンチをチャンスに変える柔軟な発想も例年以上に求められています。

◆新年の抱負 ―― 情熱とスピードでトレンドをつくる

 わたしたちはいま、大きな変化の真っただ中にいます。だからこそ、ただ流れに身を任せるのではなく、自ら動き、未来を切り拓いていく姿勢が求められます。


 2026年は「丙午(ひのえ・うま)」の年です。


 「丙」は「火の兄」、すなわち太陽のような明るさと燃える情熱、「午」は駆ける馬のような力強さとスピード感を象徴すると言われています。


 変化の激しい世界の流れに振り回されずに進んでいくためには、この明るさと情熱、力強さとスピード感を胸に刻みたいと思います。


 相場の世界には「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり」という言葉があります。


 実際に、日経平均株価は、辰(たつ)年であった一昨年に4万円を、さらに巳(へび)年であった昨年には5万円を突破しました。そうしたなかで、午年である今年一年を「尻下がり」にしないためには、「丙午」の精神を大切にしたいと考えています。


 すなわち、真摯に目の前の業務に向き合う姿勢と、変化のトレンドをいち早くつかむ努力が必要です。この2つの積み重ねにより、「尻下がり」ではなく「尻上がり」のトレンドをつくる一年にしていけると信じています。



 結びにあたり、本年が皆さんとご家族にとって健やかで実り多い一年となりますことを心よりお祈り申し上げます。以上をもちまして、私からの年頭のご挨拶とさせていただきます。



◎協力/日本実業出版社
日本実業出版社のウェブサイトはこちら 
https://www.njg.co.jp/



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