Netpress 第1614号 伝え方一つでビジネスコミュニケーションを円滑に 上手な催促メールの書き方

Point
1. 催促に限らず、難しい依頼、断り、クレーム、反論など言いにくいことをメールで伝えるときには、クッション言葉(前置き、事情説明など)を使い、できるだけ丁寧に、相手の立場に配慮して文面を作成しましょう。
2. 相手への催促で気を付けたいのは、相手が悪いのだと決めつけて、非難してしまうことです。冷静に事実関係を押さえながら、段階を踏んでトーンを強めていくことが、催促メールでのトラブル回避のコツです。


株式会社ザ・アール
上席講師  平井 理恵子


今やビジネスコミュニケーションには欠かせない「メール」。時と場所を選ばず、いつでも相手と手軽に連絡が取れる便利な手段です。ただし、文面だけのやり取りは、意図が伝わらなかったり、思わぬ誤解を招いたり、表現がきつい印象になる危険性をはらんでいます。特に、言いにくいことを伝える場合、どうすれば相手の気分を害さずにスムーズに目的を果たすことができるか、対面や電話での伝達以上に細心の注意が必要です。

今回は、メールで連絡をしてもなかなか返事が来ない、対応してもらえないなど、困ったときの上手な催促メールについて紹介します。

1.言いにくいことをメールで伝えるときの注意点

催促に限らず、難しい依頼、断り、クレーム、反論などメールで言いにくいことを伝えるときには、以下の点に気を付けましょう。

(1)表現の丁寧度を引き上げる

口頭(対面)と比べて、メールでは非言語メッセージ(表情や態度、声のトーンなど)のサポートがないため、言葉がストレートに強く伝わります。書き手にそのつもりがなくても、事務的・横柄・叱責調に受け取られることも多いので、文末に特に注意が必要です。

例)ご連絡をお願いします

→ご連絡をいただけますでしょうか/ご連絡いただけますと幸いです

(2)前置きを入れる

相手に負担を与える内容は、いきなり結論を述べずに、クッション言葉などの前置きで心の準備をさせましょう。また、事情や理由、経過の説明を入れると、説得力も高まります。

例)本日中にご判断ください

→お忙しい中のお願いで大変恐縮ですが、明日の会議に掛ける予定でございます。本日中にご判断いただけないでしょうか。

(3)相手の立場に配慮する

一方的にこちらの言い分を伝えるのではなく、相手の立場や気持ちに配慮し、相手の言い分(断り・弁解・反論・理由など)を受け入れる余地を残します。

例)期限は○日でしたよね。

→○日までに回答をお願いしておりましたが、私の伝え方がわかりにくかったかもしれません。

2.催促メールのSTEPとフレーズ

相手への催促で気を付けたいのは、相手が悪いのだと決めつけて、非難してしまうことです。いきなりきつい表現で「~の件はどうなっていますか」などと書いてしまうと、万一、こちらの勘違いや送受信の不備が理由であった場合に、トラブルの原因となりますし、そうでなくとも相手の不興を買うことになります。

冷静に事実関係を押さえながら、最初は低姿勢から、段階を踏んでトーンを強めていきます。以下のステップとフレーズを参考にしてください。

(1)STEP1~確認レベル おだやかに気づかせる

  • ××の件ですが、その後進捗はいかがでしょうか。
  • ○日に××の件でメールいたしましたが、お手元に届いておりますでしょうか。再度ご確認いただけますと幸いです。
  • ××の件、念のため再送させていただきます。ご不明な点がございましたらお尋ねください。


(2)STEP2~お願いレベル 相手の事情に配慮しつつ、角を立てずにお願いする

  • ご多忙のところ大変申し訳ございませんが、××の件で、ご連絡をお待ちしております。ご一報いただけませんでしょうか。
  • ○日にお願いした××の件ですが、まだご回答いただいていないようです。本日中に進捗状況だけでもご連絡いただけますと助かります。


(3)STEP3~催促レベル 丁寧な表現の中に、相手の行動をはっきりと「問題化」する

  • メールやお電話にて重ねてお願いを差し上げてきましたが、こちらでは確認ができずにおります。お忙しいかと存じますが、至急ご連絡を頂けませんでしょうか。
  • ○○様にもいろいろとご事情がおありかとは思いますが、業務に~という支障が出てきている状況です。早急にご対応いただきたく存じます。
  • ××の件、期日を過ぎておりますので、恐れ入りますが至急ご入金をお願いいたします。


連絡の手段はメールだけではなく、途中からは電話(による伝言)も併用するとよいでしょう。

STEP3の催促レベルでは、言葉遣いをぞんざいにするのではなく、かえって最上級の敬語を使う方が相手を遠ざける効果が働き、緊迫感も伝わります。あるいは、感情を込めずに事実のみ淡々と事務的に表す方法も有効です。


〈参考〉相手が返信しやすいメールの書き方

「相手からなかなか返信が来ない」という場合は、自分が送ったメールの書き方に問題があるのかもしれません。以下の点を見直してみましょう。

質問や依頼事項が書かれている箇所が明確になっているか(箇条書き、強調など)

相手が回答しやすいように書いているか(選択肢を用意するなど)

返信の要・不要と、回答期日を明確にしているか(「よろしくお願いいたします」だけではわからない)


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