SMBCコンサルティング発表、2023年ヒット商品番付 新たな時代の兆しが見えた1年~New Lifeの幕開け~

2023年は新型コロナウイルス感染症の影響から脱した1年であった。インバウンドも19年のコロナ前に迫る勢いで、経済活動が順調に回復しつつある。一方で歴史的な円安水準や物価上昇への不安に加え、国際政治も先行きを見通し難い情勢になっている。コロナ後の新たな時代とはどのようなものなのか。






2019年12月初旬以降、世界を混乱に陥れた新型コロナウイルス感染症は、日本において23年5月8日に季節性インフルエンザと同じ5類感染症に移行。これにより、感染対策も個人の判断に委ねられるようになり、人々はコロナ後を実感することとなった。


【西の横綱 新型コロナ5類移行】7月の3連休中に混雑する京都駅タクシー乗り場の様子(写真提供:朝日新聞社)


インバウンドを見据えた観光拠点も続々開業し、その一つ、東京ミッドタウン八重洲が3月に、JR東京駅直結の複合商業施設として誕生した。


【東の前頭2 東京ミッドタウン八重洲】地上45階・地下4階、高さ240m。施設のコンセプトは「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド~日本の夢が集う街。世界の夢に育つ街~」(写真提供:三井不動産株式会社)


とはいえ、人々の間で不安があるのも事実だ。9月の消費者物価(コアCPI)は前年比2.8%上昇。物価上昇率が2%を超えるのは、22年4月以降18カ月連続。調査対象のうち86%の品目で物価が上昇した。ほかにもWMO(世界気象機関)は、7月の世界の平均気温が16.95℃と発表、観測史上最も暑い月になった。これを受け、国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と会見で発言した。

新しい取り組みも相次いでいる。「ChatGPT」を始めとした生成AIは、学習データから会話やストーリー、画像、動画、音楽など、新しいコンテンツやアイデアを作成できる。生成AIの活用は、新しいビジネスのあり方を生み出すものといわれ、企業はその有効な活用法の模索を始めた。


【東の横綱 生成AI】労働力不足を突破する一助になる可能性がある一方、フェイクニュースの拡散など悪用する事例も出ている(写真はイメージ 提供:PIXTA)


少子化については、岸田首相が年頭会見で異次元の少子化対策の検討を表明。そのためには財源も必要だ。これまで免税事業者や簡易課税制度による納税の免除や軽減などで「合法的に納税されずに事業者の手元に残った消費税」をなくすことなどの目的で、10月1日からインボイス制度が導入された。経営管理上のメリットがある一方で、個人事業主や中小企業には大きな手間やコストが発生することから批判もある。

昨今、モノから心の豊かさに人々の価値観が変化を見せ、労働に対する考え方も以前とは違うものになっている。社会がよりよくあるための考え方の拠り所としてWell-beingが注目される。

また、そんな心の豊かさを求める考え方を反映してか、金継ぎがブームとなっている。割れたり、欠けたりした器を漆で接着し、その継ぎ目を金粉などで飾る日本の伝統的な修理技法で、コロナ禍の長期間のステイホームによりブームが加速した。

その他、ヒットしたのは電動キックボードユニクロの「ラウンドミニショルダーバッグ」。食ではたんぱく質食品が人気を得た。


【西の小結 電動キックボード】7月1日の道路交通法改正により、特定小型原動機付自転車という新区分が生まれ、運転免許が不要、ヘルメットの着用が努力義務などに、ルールが整備された(写真提供:株式会社Luup)


エンタメでは任天堂のゲーム「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」が人気。アニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」は、興行収入157億円を突破し、日本国内歴代興行収入ランキングで第13位となった。アニメ化されたマンガ「【推しの子】」の人気もすごい。ちいかわはさまざまな企業とコラボ。コンテンツとしての力強さが感じられる。実写作品ではTBS系「日曜劇場」で放送されたVIVANT(ヴィヴァン)が人気を博した。

23年も多くの人が活躍。2023ワールド・ベースボール・クラシックで日本代表を優勝に導いた侍ジャパンの選手たち、史上初の八冠を達成した藤井聡太棋士とにかく明るい安村も、おもしろさを世界に見せつけている。


(注)本番付は、相撲の番付の形式を採用しているため「東」と「西」に分かれていますが、選ばれた商品と地理的な東西の関係は一切ありません。対象は、個別の商品にとどまらず、一定のカテゴリーの商品群や人物・社会現象等を含みます。また、番付の順位は、出荷台数、売上高等の実績だけでなく、マーケットに与えた意義やインパクト、今後の成長性等を総合的に判断し、決定したものです。

※SMBCコンサルティングのホームページで、過去34年分(平成元年~)のヒット商品番付もご覧いただけます。



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