Netpress　第2327号経営戦略シリーズ④　経営戦略の策定手順｢戦略検討の手順」

Point
１．これからの企業経営者には、「外部のノウハウ」を取り入れる柔軟性と多様な情報を結合させる広い視野をもったマネジメントが求められます。
２．この連載では、計６回のシリーズで、経営戦略実行のための戦術等について説明していきます。

ＡＢＤアソシエ株式会社
代表取締役　栗原浩夫

経営戦略シリーズ第４回目は、第３回目で解説した経営戦略の仮説に基づいて、「どのように具体的な戦略や施策立案を進めていくのか」について解説します。

１．PPMのビジネススクリーン

第３回シリーズでご紹介したPPM（プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント）では、事業ごとに「市場成長性」や「市場シェア」を分類し、各々の事業の競争力や成長性を整理しました。

PPMのビジネススクリーンは、自社の全事業をマトリクスごとに分類することで、全社の事業ポートフォリオを俯瞰し、将来の選択肢の検討をすることができます。

横軸「事業地位」は、市場シェア、売上規模、コスト、使用資金や投資リターン率といった観点から事業の位置づけを考慮します。

縦軸「市場魅力度」は、市場成長率、市場規模、市場環境等から事業の位置づけを考慮します。

たとえば、A事業は事業地位の高い業界で市場シェアを確保している一方、B事業が事業地位の低い業界でなかなか市場シェアを確保できていない状況の場合に、B事業の取るべき戦略として、

・A事業で稼得した収益をB事業に配分して、市場シェアを伸ばすのか？

・B事業から撤退し、B事業に投下している経営資源をA事業や新たな事業に投資していくのか？

といった全社の事業ポートフォリオマネジメントを合理的に検討していくことになります。

第３回シリーズで解説したSWOTで自社の事業の状況を整理したうえで、「クロスSWOT」というフレームワークを使用して、将来戦略の選択肢の検討を進める例を示します。

SWOT要素を組み合わせて現状を把握し、将来向かうべき方向性について具体的な戦略の落とし込みを行います。

そのために、SWOTの要素をさらに４つのカテゴリーに分類していきます。

(1) 強み×機会	自社の強みを使って、機会を活かす戦略を検討します。
(2) 強み×脅威	自社の強みを使って、脅威によるリスクを避け、また脅威をチャンスに変える戦略を検討します。
(3) 弱み×機会	弱みの補強や克服をして、機会を活かす戦略を検討します。弱みを克服するための改善策や取り組みについても整理します。
(4) 弱み×脅威	自社の弱みを認識し、脅威を避け、リスクを最小化する戦略を検討します。