Netpress 第2532号 救いは身近にあるかも Z世代対応の救世主? ゆとり世代への3つのアプローチ

Point
1.Z世代の行動に頭を悩ませたとき、目の前の彼ら若い層だけにアプローチしようとすると行き詰まりがちです。
2.ゆとり世代(1987年〜2004年生まれ)を「感覚の通訳者」「施策の相談相手」として巻き込みましょう。


株式会社営業会議
代表取締役
野口 明美


 多くのメディアやSNSで、Z世代社員の行動・思考の特徴が広く語られています。「Z世代社員の特徴は?」と問われれば、皆さんの頭にもいくつかすぐに浮かぶのではないでしょうか。


 ですが、管理職側が本当に知りたいのはその特徴の分析ではなく、「日々の顧客との折衝や社内でのやりとりを通じて、いかに彼らを成長させ、組織に定着させ、他の社員と友好的に交流してもらうか」という具体的な対策のはずです。


 営業教育を主軸とする研修会社の代表として研修先の若手社員や中堅社員と接してきた経験から、その鍵は、彼らの一つ上の世代である「ゆとり世代」にあると私は考えます。

1.Z世代とゆとり世代の反応の違い(世代ギャップ)

 たとえば、新プロジェクトの開始を控え、結束力を高めコミュニケーションを円滑にしようと、管理職であるあなたが「今月末の金曜日、就業後に決起大会の食事会をしようか?」と呼びかけたとします。それに対するZ世代社員の反応です。


  • Aさん:「すでに先約があります! 不参加です。」
  • Bさん:「週末のイベント参加のために、早く帰宅して睡眠をとりたいので、私も不参加です。」
  • Cさん:「就業後の『決起大会』という意味がわからないので、私も不参加でお願いします。」


 いかがでしょうか。「すでに予定がある人を無理やり連れて行くつもりなど毛頭ないが、もう少し言い方を選んでほしいな……」というのが、管理職であるあなたの本音ではないでしょうか。


 単なる飲み会ではなく、プロジェクト開始前の決起大会という「目的」がある。いきなり当日言ったわけではなく、事前に日時の「提示」もしている。確かに業務外の時間帯ではあるものの、絶対に就業後でなければならないと頑固に言っているわけでもない――。そうした文脈が、なかなか伝わりません。


 一方、ゆとり世代と言われる35歳前後の主任・リーダー層に同じ投げかけをしてみると、このような反応です。


  • 甲さん:「すでに予定はあるのですが、決起大会の目的もわかりますので、予定が変更できるか確認してみますね。」
  • 乙さん:「早めに失礼してよろしければ、1時間くらい参加できます。」
  • 丙さん:「ランチでの決起大会もご検討くださると、参加率があがるかもしれませんね。いかがですか?」

2.ゆとり世代が持つ「配慮の技術」とその背景

 Z世代の先輩にあたるゆとり世代は、社内での円滑な人間関係の必要性を理解しており、周囲との軋轢を生む表現に対しても非常に敏感です。


 彼らがこうした配慮を行えるようになった背景には、社会人としての約10年間の積み重ねがあります。入社後の現場経験を通じて、角の立たない表現の重要性、事前調整(根回し)の必要性、交渉における妥協点の提示方法などを学び、大人としての成長を遂げてきたからです。


 さらに言えば、彼らが社会に出る前の「育成期」における環境も大きく影響しています。2000年代の学校現場におけるいじめの構造は、目立つ行動や浮いた言動から発生することが多く、「空気を読むこと」が自分を守り、安心・安全に暮らす手法でした。また、SNS普及の初期に多感な時期を過ごした彼らは、人間関係における悪口や失敗が拡散されてしまう恐怖を目の当たりにしています。「無難な関係を作ること」で自分を守る習性を身につけてきた世代なのです。

3.ゆとり世代に「Z世代の教育」を丸投げしてはいけない

 では、この優秀で配慮のできるゆとり世代を、管理職はどう活用すべきなのでしょうか?


 ここで絶対にやってはならないのが、「Z世代の教育・指導をゆとり世代に丸投げすること」です。


 ゆとり世代に「Z世代をどう見ているか?」と本音を尋ねると、「できれば関わりたくない」「周囲への影響を考えずに自己主張をする姿には共感できない」「正直、対応が面倒くさい」など、驚くほど冷ややかな声が返ってきます。


 配慮を重ねて自分を守ってきたゆとり世代にとって、ストレートに自己主張をするZ世代は理解しがたい存在であり、関わること自体がストレスになります。丸投げをしてしまえば、せっかくの貴重な中堅人材を潰しかねません。

4.管理職が取り組むべき「3つの実践アプローチ」

 ゆとり世代に指導を委ねるのではなく、彼らの「配慮の知恵」を借りるための実践的な3つのアプローチを提案します。


(1) Z世代の「通訳者」としてゆとり世代の意見を聞く

 たとえば、Z世代のCさんの「就業後の『決起大会』という意味がわからないので不参加」という発言に対し、管理職であるあなたからゆとり世代の甲さんへこう問いかけます。


あなた:「あの発言、どういう意味を含んでいると思う?」
甲さん:「単純に決起大会で何をどうするのかが見えないので、参加して失敗したり気まずくなったりするのが嫌で拒んでいるのだと思います。具体的に流れやメリットを伝えたら、変わるかもしれませんよ。」


 ゆとり世代は「不参加の背景を解読する通訳者」として扱い、対応自体はあなたが行うようにします。


(2) ゆとり世代に「妥協案のヒント」を出してもらう

 「週末のイベントのために早く帰りたい」というZ世代のBさんの発言に対し、ゆとり世代の乙さんに相談してみます。


あなた:「翌日のイベントに影響が出ない参加時間って、どのあたりだろうね?」
乙さん:「1時間程度の参加なら負担にならないのではないでしょうか。」


 このヒントをもとに、あなたからBさんへ「1時間だけの参加でも難しいかな?」と切り出すか、ゆとり世代の先輩社員から「1時間くらいなら顔を出しやすいと思うよ」と妥協点を提示してもらいます。


(3) 選択肢を増やす「仕組み(アンケート)」を一緒に作る

 課員全体の希望を個別にまとめるのは難しいため、あなたはGoogle フォームなどを活用したアンケート形式に切り替えることに決めます。その際に、アンケートの選択肢をゆとり世代の丙さんと一緒に考えます。


 単なる「参加・不参加」ではなく、「〇時までなら参加可能」「ランチへの変更なら参加可能」といった柔軟な選択肢を用意することで、Z世代も回答しやすくなるでしょう。



 Z世代の行動に頭を悩ませたとき、目の前の若い層だけにアプローチしようとすると行き詰まりがちです。ゆとり世代を「Z世代の指導係」にするのではなく、「感覚の通訳者」「施策の相談相手」として巻き込みましょう。彼らゆとり世代とコミュニケーションを密にしながらZ世代との接触の機会を増やすことこそが、ゆとり世代のモチベーションを保ちつつ、Z世代を含む若手全体を確実に成長させる鍵となります。ぜひ、貴社の組織に合った手法から試してみてください。



◎協力/日本実業出版社

日本実業出版社のウェブサイトはこちらhttps://www.njg.co.jp/



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