Netpress 第2312号 上司の思う「若手像」とはズレている!? 若手社員の理想の働き方とは?

Point
1.識学が20代の新卒入社3年未満の若手社員とその上司を対象に、「働き方」に関する調査を実施しました。
2.若手社員の60%近くが「転職したい」と考えており、その最大の理由は「昇給の見込みがないから」です。
3.若手社員の離職を抑え、成長させていくためには、ある程度(一定以上)「任せる」ということが必要であり、その結果に対する評価を適切に行うことが上司には求められています。


株式会社識学
三代 侑平


1.調査でわかった本当の「若手像」

新入社員が入社して早半年。少しずつ仕事にも慣れ、入社前の不安や心配も払拭された頃かと思います。一方で、「なんだか思っていたのと違う」といった理由で離職を考える若手社員も出てくる頃です。


株式会社識学が行った調査によると、新卒入社3年未満の若手社員のうち、約60%が「転職したい」と考えていました。主体的なキャリア形成を求められる時代のなかで、価値観も自分たちとは異なる若者との接し方に少し難しさを感じている管理職の方も多いのではないでしょうか。


同調査によると、新卒・若手社員に対し「ハラスメントに当たるのでは?」と気になって、業務依頼や指摘などをしにくいと感じた上司は52%にも上ります。「強く言ったら辞めてしまうのではないか」「ハラスメントになったらどうしよう」「個性を認めるとはいえ、これはちょっと…」といった悩みを2人に1人の方が抱えているのです。




しかし、若者が離職を考える理由の26.1%が「仕事を任せてもらえないから」(上表)。つまり、上司の側で若者の気持ちを慮った結果、それが完全に裏目に出てしまっていることが明らかとなりました。そのほかにも転職を考える理由としては、昇給の見込みがない、成長や昇進の見込みがないが多く挙がっています。


また、別の質問では、「やりたい仕事であれば」という条件が付くことで、休日出勤や残業についても受け入れる新卒・若手社員が一定数いることがわかりました(下表)。




プライベート重視で、注意・指導などはされたくない。そんな「若手像」を多くの上司の方が想像していましたが、結果は真逆です。自分にとってプラスになるのであれば、積極的に仕事に取り組みたいと考えている若手社員が実は多いのです。

2.若手社員の離職を防ぐ鍵とは

では、若手像を踏まえたうえで、彼らの離職を止めるためには何をすべきでしょうか。


成長意欲が高いからこそ、ある程度(一定以上)仕事を「任せる」ということが必要になります。また、その任せた結果に対し、適切に評価(フィードバック)をすることが必要です。


以下では、この土台となる「評価制度」について、3つのポイントに分けて解説します。


●ポイント①:誰が見てもできた/できていないが一致する目標設定

「これだけ頑張ったから昇給してほしい」と部下が思う一方で、上司からすると「もうちょっと」と思うこともあるのではないでしょうか。これが続くと、「頑張ったのに昇給/昇進できない」といった不満に繋がります。


そのため、誰が見てもできた/できていないが一致している目標を設定しましょう。


たとえば、100万円の売上目標に対して、どんなに頑張っても99万円だったらそれは未達成です。一方で、残業も休日出勤もしなかったが、101万円だったら達成したことになります。


重要なのは、「できた/できていない」の認識が、評価者と本人の間でズレないことです。また、「何がどれだけ足りていないか」が明確になるため、「次はこうしよう」といった行動改善に繋がります。


●ポイント②:結果と昇給/昇進が連動している

目標を達成したとしても、昇給や昇進しなかった場合は「次も頑張ろう」とは思えません。そのため、どのくらい達成すれば昇給/昇進するのかを明示し、結果と連動していることも重要なポイントです。


「これだけの成果を出せたから、これくらい昇給するだろう」と認識できることで、「こんなに頑張ったのに、なんでこれしかもらえないんだ」といった不満を軽減することができます。


また、任されている仕事が「自分にとってプラスになる業務」と捉えることができ、やりがいを持って各々が仕事に取り組むようになります。


●ポイント③:平等な采配になっている

最後のポイントは、「平等な采配」をすることです。


同条件で自分より成果が出ている人が周りにいることで、「できない言い訳」ができなくなります。そうなれば、できない理由は「自分」です。たとえ未達成だとしても、言い訳ができないことで「次はこうしよう」と、行動改善を繰り返します。


PDCAを高速で回せるようになるため、結果として当初はできなかったことができるようになる、つまり本人の成長に繋がっていきます。

3.思い切って任せてみる

ハラスメントなどを気にして、若手社員に任せにくいと考える上司の方も多いと思います。もちろん、頭ごなしの否定や叱責はよくありませんが、適切な指摘は今後の成長のためにも必須です。


明確な目標を設定し、思い切って任せてみる。上司のあなたから見て「どれだけ足りていないか」が明確になるので、指摘もしやすくなります。不足がわかれば、部下も次に繋げることができます。


若手社員の成長や離職に悩まれている方は、評価制度から整えてみてはいかがでしょうか。



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